相続した家の売却は何から始める?必要な手続きと全体の流れを分かりやすく解説

2026/07/16

相続した家の売却は何から始める?必要な手続きと全体の流れを分かりやすく解説

親から家を相続したものの、売却までに何をすればよいのか分からず、手を付けられないこともあるでしょう。

相続した家は、すぐに不動産会社へ依頼できるとは限らず、相続人の確認や遺産分割、名義変更といった手続きを先に済ませる必要があります。

必要な書類や費用、税金を調べないまま進めると、予定していた時期に売れなかったり、相続人同士で話が食い違ったりすることもあります。

この記事では、相続した家を売却する手順を、事前準備から査定、契約、引き渡しまで順を追って紹介します。

不動産会社の選び方や売却後の税金も取り上げているため、最初に何を確認し、次に何を進めればよいのかを整理する際にお役立てください。

相続した家を売却する前の確認事項

相続人を確定する

最初に取り組みたいのは、故人の財産を引き継ぐ権利がある人を漏れなく把握することです。

相続人が一人でも欠けた状態で遺産分割を進めると、協議が成立せず、名義変更や不動産の取引をやり直すおそれがあります。

一般的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を集め、配偶者や子どもなどの法定相続人を確認します。

子どもが先に亡くなっている場合は孫が相続人になることがあり、離婚歴や養子縁組があるケースでは、想定していなかった親族が見つかる可能性もあります。

戸籍が複数の自治体に分かれていると収集に時間がかかるため、故人の本籍地をたどりながら早めに請求を始めましょう。

集めた戸籍を法務局へ提出して法定相続情報一覧図の写しを取得すれば、その後の登記や金融機関での手続きに活用できます。

親族関係が複雑で判断しにくいときは、司法書士などの専門家へ依頼し、正確な相続人調査を行うことが大切です。

売却を円滑に進めるためにも、査定や契約の準備に入る前に、誰が相続手続きへ参加する必要があるのかを明確にしておきましょう。

遺言書を確認する

故人が生前に残した意思によって、家を取得する人や財産の分け方が指定されている場合があります。

遺言の内容は遺産分割や相続登記の進め方に影響するため、相続人同士で話し合う前に存在の有無を調べることが重要です。

自宅の金庫や机、貸金庫などを確認するほか、公正証書遺言については公証役場、保管制度を利用した自筆証書遺言については法務局で調査できることがあります。

自宅などで見つかった封印のある遺言書は、相続人が勝手に開封せず、家庭裁判所で検認の手続きを行う必要があります。

一方、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合は、家庭裁判所による検認が不要です。

遺言書が見つかったときは、家の所在地や取得する人、遺言執行者の指定などを確認し、売却できる立場にある人を整理します。

書かれている内容が不明確な場合や、相続人の最低限の取り分である遺留分に関する問題が想定される場合は、独断で手続きを進めないほうが安心です。

遺言書の形式や効力に疑問があるときは、弁護士や司法書士へ相談し、内容を確認してから次の段階へ進みましょう。

遺産分割協議をまとめる

遺言書で家の取得者が決まっていない場合は、相続人同士の話し合いによって所有者を決定します。

この話し合いには相続人全員の参加と合意が必要であり、一部の人だけで決めた内容では相続登記を進められない可能性があります。

家を一人が取得して売却するのか、複数人の共有名義にするのか、売却して得た現金を分配するのかを具体的に検討しましょう。

売却を予定している場合は、代表者が家を相続したうえで売る方法と、共有名義で取得して全員が売主となる方法があります。

共有名義にすると売買契約や引き渡しに共有者全員の協力が必要になるため、遠方に住む相続人がいるケースでは手間が増えることもあります。

話し合いがまとまったら、誰がどの財産を取得するのかを遺産分割協議書に記載し、通常は相続人全員が署名して実印を押します。

売却代金の分け方や諸費用の負担についても協議書などに残しておけば、決済後の分配をめぐるトラブルを防ぎやすくなります。

意見が対立して合意できない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や弁護士への相談も検討し、権利関係を整理してから売却準備へ進みましょう。

売却方針を決める

権利関係を整理した後は、家をどのような条件で手放すのかを相続人の間で共有します。

方針が曖昧なまま不動産会社へ依頼すると、査定価格や売却時期をめぐって意見が分かれ、手続きが止まる可能性があります。

まずは、できるだけ高く売りたいのか、管理負担を減らすために早く処分したいのか、優先する条件を話し合いましょう。

価格を重視する場合は仲介による売却が一般的ですが、成約までの期間は物件の状態や立地、相場によって変わります。

早期の現金化を優先する場合は不動産会社による買取も選択肢になるものの、仲介より売却価格が低くなる傾向があるため比較が必要です。

建物を残したまま売るのか、家財を処分するのか、必要に応じて測量や解体を行うのかについても事前に決めておくと、費用の見通しを立てやすくなります。

相続税の納税期限や空き家の管理状況など、売却を急ぐ事情がある場合は、不動産会社へ希望時期を具体的に伝えることも大切です。

最低限納得できる価格、売却期限、費用の負担者、窓口となる相続人を定めておけば、その後の査定や媒介契約を進めやすくなります。

相続した家を売却する手順

相続登記を申請する

家の名義が故人のままでは、原則として売買による所有権移転登記を進められないため、先に相続人へ名義を変更します。

申請先は物件の所在地を管轄する法務局で、戸籍謄本や遺産分割協議書、固定資産評価証明書などを提出します。

遺言書がある場合や法定相続分で引き継ぐ場合は、必要書類や手続きの進め方が異なるため注意が必要です。

複数人の共有名義にすると、売却時に共有者全員の同意や署名が求められ、契約や決済の日程調整に手間がかかることがあります。

売却を予定している場合は、誰の名義にするのが適切かを相続人同士で話し合い、代金の分配方法も併せて整理しておきましょう。

登記内容が複雑な場合や書類の収集が難しい場合は、司法書士へ依頼すると申請漏れや記載ミスを防ぎやすくなります。

必要書類をそろえる

手続きの途中で書類が不足すると、査定や契約の日程が延びるため、早い段階から収集を始めることが大切です。

相続登記では戸籍関係の書類や遺産分割協議書などが必要になり、売買契約では登記識別情報や本人確認書類などを用意します。

固定資産税納税通知書や建築確認済証、測量図など、物件の状況を確認できる資料も探しておきましょう。

書類が見つからない場合でも、法務局や自治体で取得できるものや、不動産会社へ相談しながら代替資料を用意できるものがあります。

相続人が遠方に住んでいると、印鑑証明書の取得や書類への押印に時間を要するケースも少なくありません。

必要書類の種類は物件や相続方法によって異なるため、不動産会社や司法書士へ一覧を確認してから準備すると効率的です。

不動産会社へ査定を依頼する

売却価格の目安を把握するため、相続登記の準備と並行して不動産会社へ査定を依頼します。

査定には物件情報をもとに概算価格を出す方法と、担当者が現地を確認して価格を算出する方法があります。

建物の劣化状況や周辺環境、土地の形状なども価格に影響するため、売却を具体的に進める段階では現地査定を受けるのが一般的です。

一社だけでは価格や販売方針を比較しにくいため、複数社へ相談し、査定額の根拠を確認しましょう。

高い査定価格が提示されても、その金額で必ず成約するとは限らず、売り出し後に値下げが必要になることもあります。

相続物件の売却実績や地域の相場に詳しく、税金や残置物の扱いについても具体的に説明できる会社を選ぶことが重要です。

媒介契約を結ぶ

依頼する不動産会社を決めたら、売却活動の内容や条件を定める媒介契約を締結します。

媒介契約には複数の種類があり、複数社へ依頼できるか、販売状況の報告頻度がどの程度かといった違いがあります。

幅広く買い手を探したい場合と、一社に窓口をまとめたい場合では、適した契約方法が異なります。

契約前には、売り出し価格や広告方法、内覧への対応、仲介手数料などを確認しておきましょう。

空き家が遠方にある場合は、鍵の管理や室内の換気、内覧時の立ち会いを誰が行うのかも決める必要があります。

担当者との連絡方法や報告の頻度まで共有しておけば、売却活動の状況を把握しやすくなります。

売買契約を結ぶ

購入希望者と価格や引き渡し条件について合意したら、重要事項の説明を受けたうえで売買契約を締結します。

契約書には売買代金や手付金、引き渡し日、設備の状態、契約を解除する場合の条件などが記載されます。

雨漏りや建物の不具合、土地の境界に関する問題など、把握している事情は契約前に不動産会社へ伝えましょう。

事実を伝えずに売却すると、引き渡し後に修理費の負担や代金の減額を求められる可能性があります。

共有名義の物件では、原則として共有者全員が売主となるため、署名や押印、本人確認の準備が必要です。

契約内容に不明点がある場合は、その場で曖昧にせず、費用負担や責任の範囲を確認してから署名しましょう。

決済後に引き渡す

決済日には、買主から残代金を受け取り、所有権移転登記に必要な書類と家の鍵を引き渡します。

司法書士が登記書類を確認し、問題がなければ金融機関で代金の支払いや仲介手数料などの精算を行うのが一般的です。

固定資産税や管理費などは、引き渡し日を基準に日割りで精算される場合があります。

室内に家財が残っている場合は、契約で取り決めた期限までに処分し、買主へ渡せる状態にしておきましょう。

売却代金を相続人で分けるときは、遺産分割協議で決めた内容に沿って分配し、振込記録などを残しておくと安心です。

引き渡し後は、譲渡所得の計算に備えて売買契約書や仲介手数料の領収書などを保管し、必要に応じて確定申告を行います。

売却に必要な書類

相続登記の書類

名義変更を進めるには、相続関係や不動産を取得する人を証明できる資料を準備します。

必要な書類は、遺言書の有無や遺産分割の方法によって異なるため、事前に管轄の法務局や司法書士へ確認しておくと安心です。

書類の不足や記載内容の不一致があると申請を補正する必要が生じるため、氏名や本籍、住所のつながりも確認しましょう。

戸籍謄本

誰が相続人に該当するのかを証明するため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などを集めます。

転籍や婚姻などによって本籍地が変わっている場合は、複数の市区町村へ請求しなければならないことがあります。

相続人についても、現在の戸籍謄本など、被相続人との関係を確認できる書類が必要です。

戸籍の内容から相続関係を読み取るのが難しいケースでは、司法書士へ収集や確認を依頼する方法もあります。

法定相続情報一覧図の写しを取得しておけば、登記以外の相続手続きでも戸籍一式の代わりに利用できる場合があります。

遺産分割協議書

遺言書とは異なる分け方をする場合や、遺言書がない状態で取得者を決めた場合は、話し合いの内容を書面に残します。

書面には対象となる土地や建物を登記事項証明書どおりに記載し、誰が取得するのかを明確にします。

不動産の表示が曖昧だったり、所在地や地番を誤って記載したりすると、登記申請に使用できない可能性があります。

一般的には相続人全員が署名し、実印を押したうえで、それぞれの印鑑証明書を添付します。

売却後に代金を分ける予定がある場合は、分配方法や諸費用の負担についても合意内容を整理しておきましょう。

固定資産評価証明書

相続登記で納める登録免許税を算出する際は、不動産の固定資産評価額を確認できる資料を使用します。

固定資産評価証明書は、通常、物件が所在する市区町村の窓口などで取得できます。

自治体から届いた固定資産税の課税明細書を利用できる場合もありますが、申請先によって扱いが異なることがあります。

土地と建物の両方を相続する場合は、対象となるすべての不動産が記載されているか確認してください。

年度が切り替わる時期には必要な年度の書類を確認し、古い評価額で計算しないよう注意しましょう。

売買契約の書類

買主との契約や所有権移転登記では、売主本人であることや処分する権利を持っていることを示す資料が必要です。

相続登記が完了した後に発行された書類もあるため、受け取った際は紛失しないよう保管してください。

決済日に不足が判明すると引き渡しが延期されるおそれがあるため、不動産会社や司法書士と早めに確認しましょう。

登記識別情報

登記識別情報は、不動産の登記名義人であることを確認するために使用される情報です。

相続登記によって新たな所有者になった人には、原則として登記識別情報通知が交付されます。

売却に伴う所有権移転登記で必要になるため、通知書の目隠し部分をむやみに開封したり、第三者へ見せたりしないでください。

紛失しても同じ情報を再発行してもらうことはできず、本人確認情報の作成など別の手続きが必要になる場合があります。

見当たらないときは決済直前まで放置せず、担当する司法書士へ早めに相談しましょう。

印鑑証明書

所有権移転登記や売買契約における本人確認のため、売主の印鑑証明書を求められるのが一般的です。

共有名義で取得した家を売る場合は、原則として共有者ごとに準備する必要があります。

登記手続きに使用するものは発行後の期間が定められているため、取得する時期を司法書士へ確認してください。

証明書の住所と登記簿上の住所が異なる場合は、住所変更登記や住所の移り変わりを示す書類が必要になることもあります。

実印の押印箇所を誤ると書類を作り直す可能性があるため、案内を受けてから署名と押印を行いましょう。

本人確認書類

契約や決済では、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの本人確認書類を提示します。

有効期限が切れている書類は使用できないため、契約前に期限と記載内容を確認しておきましょう。

住所変更後に書類の記載を更新していない場合は、追加資料を求められる可能性があります。

相続人の代理人が契約や決済に出席するときは、本人確認書類に加えて委任状なども必要です。

求められる書類は取引や金融機関によって異なるため、原本と写しのどちらを用意するのかも確認してください。

物件情報の書類

家や土地の状態を正確に伝えられる資料がそろっていると、査定や買主への説明を進めやすくなります。

すべての資料が必須とは限りませんが、建物の安全性や土地の範囲を確認できれば、取引上の不安を減らせます。

故人が保管していた契約書や設計図なども含め、室内や貸金庫を早めに探しておきましょう。

固定資産税納税通知書

毎年自治体から届く通知書には、土地や建物の所在地、評価額、税額などが記載されています。

不動産会社は記載内容を査定の参考にするほか、決済時に固定資産税を精算する際にも利用します。

複数の土地や建物が記載されている場合は、売却する不動産がどの部分に該当するのか確認してください。

通知書が見つからないときは、自治体で固定資産評価証明書や名寄帳などを取得して補える場合があります。

税額だけで市場価格を判断することはできないため、売却相場については不動産会社の査定と併せて確認しましょう。

建築確認済証

建物が建築基準法に基づく確認を受けていることを示す資料で、検査済証や設計図書と一緒に保管されていることがあります。

買主や金融機関が建物の適法性を確認する際の参考となるため、戸建て住宅を売る場合は探しておきましょう。

増築やリフォームを行っている場合は、当時の工事内容が分かる図面や契約書も査定に役立ちます。

書類が見つからなくても直ちに売却できなくなるとは限りませんが、調査や代替資料の取得が必要になることがあります。

建築時期や自治体によって保管状況が異なるため、不動産会社や建築士へ確認しながら対応してください。

境界確認書

土地を売る際は、隣接する土地との境界がどこにあるのかを買主へ示せる状態が望まれます。

境界確認書や確定測量図があれば、土地の範囲や面積を確認しやすく、隣地との認識の違いによるトラブルも防ぎやすくなります。

古い測量図しかない場合や境界標が見つからない場合は、土地家屋調査士による測量が必要になることがあります。

測量には隣地所有者の立ち会いや確認を要することがあり、完了まで時間がかかるケースも少なくありません。

売買契約後に問題が判明すると引き渡しへ影響するため、土地を含む物件では査定の段階で境界の状況を伝えましょう。

不動産会社の選び方

売却実績を確認する

依頼先を決める際は、相続した家と似た物件を扱った経験があるかを確認しましょう。

不動産会社によって、戸建てやマンション、土地など、得意とする物件の種類や地域が異なります。

相続物件では、通常の売却に加えて名義変更や家財の処分、税金に関する対応が必要になるケースもあります。

そのため、過去の成約事例や対応したエリア、売却までにかかった期間などを質問することが大切です。

空き家の管理や残置物の処分、測量などを相談できる会社であれば、複数の手続きをまとめて進めやすくなります。

実績の多さだけで判断せず、自分の物件に近い事例を具体的に説明できるかを見極めましょう。

査定価格の根拠を確認する

査定額を見るときは、金額の高さよりも、どのような資料や条件をもとに算出したのかを確かめることが重要です。

周辺の成約事例や現在の売り出し状況、土地の形状、建物の状態などを踏まえているか確認してください。

相場より高い査定額が示されても、その価格で買い手が見つかるとは限りません。

売り出し後に値下げを繰り返すと、売却期間が長引き、物件に問題がある印象を持たれる可能性もあります。

複数社へ査定を依頼し、価格差が生じた理由や成約が見込める金額を比較しましょう。

良い面だけでなく、建物の劣化や立地など、価格を下げる要因も率直に説明する会社は信頼しやすいといえます。

販売方針を確認する

希望する時期や価格で売るためには、査定後にどのような方法で買い手を探すのかを確認しておく必要があります。

不動産情報サイトへの掲載、既存の顧客への紹介、近隣への広告など、会社によって販売活動の内容は異なります。

売り出し価格の設定方法や、反響が少ない場合にどの時点で価格を見直すのかも聞いておきましょう。

古い家では、そのまま販売するほか、解体して土地として売る方法や、不動産会社による買取を提案されることもあります。

費用や売却期間、手元に残る金額を比較し、それぞれのメリットと注意点を説明してもらうことが大切です。

売主の希望を聞かずに一つの方法だけを勧める会社ではなく、複数の選択肢を示す会社を選びましょう。

担当者の対応を確認する

売却活動では担当者と何度も連絡を取るため、説明の分かりやすさや対応の丁寧さも重要な判断材料です。

質問に対して曖昧な回答が多い場合や、契約を急がせる場合は、慎重に検討したほうがよいでしょう。

相続人が複数いると、売却条件の調整や書類の準備に時間がかかることもあります。

事情を理解したうえで、必要な手続きや今後の流れを整理して伝えてくれる担当者であれば、落ち着いて進めやすくなります。

遠方の物件を売る場合は、電話やメールでの報告内容、内覧時の対応、鍵の管理方法も確認してください。

査定時の印象だけで決めず、連絡の早さや説明の一貫性を含め、安心して任せられる相手かを見極めましょう。

売却にかかる費用

仲介手数料

不動産会社の仲介によって買主が見つかり、売買契約が成立した場合に支払う成功報酬です。

広告の掲載や購入希望者への案内、契約条件の調整、重要事項の説明など、売却を支援する業務への対価にあたります。

請求できる金額には法令上の上限があり、通常は売買価格をもとに計算されます。

相続した家の価格が低い場合などは、通常とは異なる報酬上限が適用されることもあるため、媒介契約を結ぶ前に確認が必要です。

支払う時期は契約時と引き渡し時に分ける場合や、決済時にまとめて精算する場合があります。

査定価格だけでなく、仲介手数料や追加サービスの費用も含めて、手元に残る金額を比較しましょう。

登録免許税

故人名義の不動産を相続人名義へ変更する際は、相続登記に伴う税金が発生します。

税額は原則として土地や建物の固定資産評価額をもとに算出され、市場での売却価格を基準にするものではありません。

評価額は固定資産評価証明書や固定資産税の課税明細書などで確認できます。

複数の不動産を相続する場合は、それぞれの評価額を確認したうえで計算しなければなりません。

一定の条件を満たす土地の相続登記には免税措置が適用される場合もありますが、すべての物件が対象になるわけではありません。

自分で判断するのが難しいときは、法務局や司法書士へ相談し、適用の可否と納付額を確認しましょう。

司法書士報酬

相続登記や売却時の所有権移転登記を司法書士へ依頼すると、税金とは別に報酬がかかります。

相続関係が複雑で戸籍の収集が多い場合や、複数の土地や建物を登記する場合は、作業量に応じて費用が増えることがあります。

遺産分割協議書の作成支援や住所変更登記などを併せて依頼すると、追加料金が発生するケースも少なくありません。

売却時の所有権移転登記は買主側の司法書士が担当することが多いものの、売主にも抵当権抹消や住所変更などの費用が生じる場合があります。

見積書を受け取ったら、登録免許税などの実費と司法書士報酬を分けて確認してください。

依頼範囲を明確にしておくと、想定していなかった費用の発生を防ぎやすくなります。

印紙税

紙の不動産売買契約書を作成する場合は、契約金額に応じた収入印紙を貼付します。

印紙税は売却によって得た利益にかかる税金ではなく、一定の契約書を作成したことに対して課されるものです。

売主用と買主用に契約書の原本を作成する場合は、それぞれの契約書に収入印紙が必要になります。

一方、電子契約では紙の課税文書を作成しないため、一般的に印紙税はかかりません。

不動産売買契約書には一定期間の軽減措置が設けられているため、契約時点の税額を確認することが大切です。

貼付漏れや金額の間違いを避けるため、不動産会社から案内された金額を契約前に準備しましょう。

残置物処分費

室内や敷地に家具、家電、衣類などが残っている場合は、引き渡しまでに処分費用が必要になることがあります。

荷物の量や種類、建物の広さ、搬出経路によって金額が変わり、遠方の家では立ち会いに伴う交通費や手間も考慮しなければなりません。

仏壇や写真、重要書類などが含まれている可能性もあるため、処分業者へ任せる前に相続人で必要な物を確認しましょう。

家庭ごみとして出せない家電や大型家具には、自治体の回収費用やリサイクル料金がかかる場合があります。

家財を残したまま売れることもありますが、処分費相当額が売却価格から差し引かれる可能性があります。

複数の業者から見積もりを取り、そのまま売る場合と処分後に売る場合の手残りを比べて判断することが重要です。

売却後にかかる税金

譲渡所得税を計算する

家を売って利益が出た場合は、その利益に対して所得税や住民税などが課されます。

課税対象となる譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引き、適用できる特別控除があれば、さらに控除して計算します。

譲渡費用には、仲介手数料や売買契約書の印紙代、売却のために直接かかった解体費などが含まれる場合があります。

税率は、売却した年の1月1日時点における所有期間が5年を超えるかどうかで異なります。

相続した家では、原則として故人が取得した時期を引き継ぐため、相続してから売却するまでの期間だけで判断するわけではありません。

売却代金の全額に税金がかかるものではないため、取得費や諸費用を正確に整理してから税額を算出しましょう。

取得費を確認する

取得費は譲渡所得を左右するため、故人が家を購入した当時の資料をできるだけ探しておくことが大切です。

相続によって取得した土地や建物は、原則として被相続人が購入したときの代金や購入手数料などを引き継いで計算します。

建物については、購入代金をそのまま使うのではなく、所有期間中の減価償却費に相当する金額を差し引かなければなりません。

売買契約書や領収書が見つからない場合は、通帳の記録や住宅ローンの資料などから購入額を確認できないか調べましょう。

実際の取得費が分からないときは、売却代金の5%を概算取得費として計算できる場合があります。

概算取得費では譲渡所得が大きくなりやすいため、古い書類であっても処分せず、税理士へ確認してから判断してください。

相続空き家の特別控除を確認する

故人が一人で暮らしていた一定の家を相続して売った場合は、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる可能性があります。

対象となるには、建築時期や建物の構造、売却価格、相続後の利用状況など、複数の要件を満たさなければなりません。

相続開始の直前に故人が老人ホームなどへ入所していた場合でも、一定の条件を満たせば対象になることがあります。

相続人が複数いる場合や売却時期によっては、一人当たりの控除限度額が異なるケースもあるため注意が必要です。

耐震基準を満たしていない家については、耐震改修や取り壊しの時期が適用の可否に影響することもあります。

自治体が発行する確認書などの添付資料も必要になるため、売買契約を結ぶ前に不動産会社や税務署へ相談しましょう。

取得費加算の特例を確認する

相続税を納めた人が相続した家を一定期間内に売る場合は、相続税額の一部を取得費へ加算できることがあります。

取得費が増えると課税対象となる譲渡所得が小さくなるため、売却後の税負担を抑えられる可能性があります。

適用を受けるには、相続や遺贈によって財産を取得していること、その人に相続税が課税されていることなどが必要です。

売却期限は、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までとされています。

加算できるのは納めた相続税の全額とは限らず、売却した財産に対応する金額を所定の方法で計算します。

相続空き家の特別控除とは併用できない場合があるため、どちらが有利かを税理士へ相談して選択しましょう。

確定申告を行う

売却によって課税される利益が生じた場合は、原則として売却した年の翌年に確定申告を行います。

申告では、売買契約書や取得費を証明する資料、仲介手数料などの領収書をもとに譲渡所得を計算します。

特別控除を適用して税額がゼロになる場合でも、控除を受けるために申告が必要となるケースがあります。

相続空き家の特別控除を利用するときは、譲渡所得の内訳書や登記事項証明書など、定められた書類を添付します。

共有名義で売却した場合は、原則として各相続人が自分の持分に応じて譲渡所得を計算し、それぞれ申告します。

取得費が不明な場合や複数の特例を比較する必要がある場合は、申告期限より前に税務署や税理士へ確認しておきましょう。

売却時の注意点

相続登記の期限を守る

名義変更を後回しにすると、売買契約や引き渡しを予定どおり進められなくなるおそれがあります。

相続登記は、原則として不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。

2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象となるため、故人名義のまま長期間放置している家は早めの確認が必要です。

遺産分割協議が期限内にまとまらない場合は、相続人申告登記によって申請義務を履行する方法もあります。

ただし、相続人申告登記だけでは売却に必要な名義変更は完了しないため、取得者が決まった後に改めて相続登記を申請します。

戸籍の収集や話し合いに時間がかかることも踏まえ、売却を決めた段階で法務局や司法書士へ相談しましょう。

空き家を適切に管理する

買い手が決まるまで誰も住まない場合でも、建物や敷地の管理を続ける必要があります。

換気や通水を行わずに放置すると、湿気によるカビや配管の劣化が進み、査定価格に影響する可能性があります。

庭木や雑草が道路や隣地にはみ出すと、近隣から苦情を受けたり、不法投棄を招いたりすることもあります。

定期的に現地を確認し、郵便物の整理や清掃、雨漏り、害虫、外壁の破損などを点検しましょう。

遠方に住んでいて訪問が難しい場合は、不動産会社や空き家管理サービスへ巡回を依頼する方法があります。

管理状態が悪化してから修繕するより、売却期間中も最低限の手入れを続けるほうが費用や近隣トラブルを抑えやすくなります。

売却代金の分け方を決める

売却後の行き違いを防ぐには、受け取った代金をどのように分配するか事前に明確にしておくことが大切です。

分配額は売買価格だけで決めるのではなく、仲介手数料や登記費用、家財の処分費などを差し引いた手取り額をもとに検討します。

代表者が家を取得して売却する場合は、ほかの相続人へ渡す金額や振込時期を遺産分割協議書などに記載しておきましょう。

一部の相続人だけが固定資産税や修繕費を負担しているケースでは、その費用をどのように精算するかも話し合う必要があります。

口頭の約束だけでは認識に差が生じやすいため、合意内容と支払いの記録を残しておくと確認しやすくなります。

分配方法によっては税務上の扱いが変わる可能性もあるため、金額が大きい場合は税理士へ相談してください。

相続人の同意を得る

複数人で家を共有している場合は、原則として共有者全員が売却に同意しなければ取引を進められません。

不動産会社との打ち合わせを代表者が担当していても、売買契約や所有権移転登記では各共有者の署名や押印が必要になります。

売り出し価格や値下げの範囲、引き渡し時期について意見が分かれると、購入希望者が現れても契約できないおそれがあります。

査定を依頼する前に希望条件を共有し、誰が不動産会社との窓口になるのかも決めておきましょう。

遠方に住む相続人がいる場合は、郵送での書類準備や代理人への委任が可能かを早めに確認することが大切です。

合意が難しいときは売却を急いで進めず、弁護士などの専門家を交えて権利関係を整理してください。

土地の境界を確認する

戸建てや土地を売る際は、隣接地との境目が明確になっているかを査定段階で確認しましょう。

境界標がなく、登記上の面積と実際の利用範囲が異なる場合は、買主から測量を求められることがあります。

まずは法務局で地積測量図や公図を取得し、境界確認書や過去の測量資料が保管されていないか探してください。

資料だけで判断できないときは、土地家屋調査士へ依頼し、現地測量や隣地所有者との立ち会いを進めます。

隣地所有者との認識が一致しない場合は、筆界特定制度などを利用して公的な判断を求める方法もあります。

境界の確認には時間を要するケースがあるため、売買契約の直前ではなく、売却準備の早い段階から取り組みましょう。

まとめ

相続した家の売却は、買い手を探すことから始まるわけではありません。

まず相続人や遺言書を確認し、家を売れる状態に整えてから、不動産会社への査定や契約へ進むことが大切です。

必要書類や費用、税金まで早めに把握しておけば、途中で手続きが止まったり、相続人同士の認識が食い違ったりする事態も防げます。

すべてを自分だけで進める必要はなく、登記は司法書士、税金は税理士、売却は不動産会社と、それぞれの専門家を頼る方法もあります。

まずは家の名義と相続関係を確認し、今できる準備から着手してください。

順番を押さえて一つずつ進めれば、相続した家を納得のいく形で手放す道筋が見えてきます。

この記事のタイトルとURLをコピーする

この記事を書いた事務所

みかづき不動産株式会社

みかづき不動産株式会社

東京都葛飾区で不動産売却は、みかづき不動産にお任せください。葛飾区・江戸川区の土地、マンション、一戸建ての売却・査定を得意とし、豊富な実績と地元の相場情報を基に、お客様の物件売却をサポートします。相続や離婚、訳あり物件のお悩みも気軽にご相談いただけます。

関連記事

本條 真経

葛飾区・江戸川区で
不動産の売却や買取は
みかづき不動産にお任せください!