土地売却の必要書類は何がある?査定から引き渡しまでに準備する書類と取得先を解説
2026/08/20
土地を売却するときに必要なのは、本人確認書類や権利証だけではありません。
登記や固定資産税、測量に関する資料も関わり、査定・契約・引き渡しのどの段階かによって準備する書類も変わります。
さらに、相続した土地や共有名義の土地では、通常とは別の書類が加わるケースもあります。
大切なのは、最初からすべて集めることではなく、手元にある書類とこれから取得する書類を分けて整理することです。
この記事では、土地売却の必要書類を種類や手続きの時期ごとにまとめ、取得先や紛失時の対応も紹介します。
何をいつ用意するのかを確認しながら、売却準備を進めていきましょう。
土地売却で必要な書類
本人確認書類
手続きを始める際は、売主本人であることを確認できる公的な身分証を用意しておきましょう。
宅地建物取引業者には、不動産の売買契約やその媒介を行う際、犯罪収益移転防止法に基づいて顧客の取引時確認を行うことが求められているためです。
個人の場合は、運転免許証やマイナンバーカードなど、氏名や住所を確認できる書類を使うのが一般的です。
不動産会社との契約だけでなく、所有権移転登記を担当する司法書士からも本人確認を求められることがあります。
身分証に記載された住所と登記上の住所が異なる場合は、住所のつながりを確認するため、住民票などの追加書類が必要になることもあります。
住所変更があると準備する書類が増えるため、身分証と登記情報の氏名・住所が一致しているかを早めに確認しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
印鑑登録証明書
決済や登記の段階で慌てないためにも、実印とあわせて準備する時期を確認しておくことが大切です。
売買による所有権移転登記では、売主が登記申請を司法書士などへ委任する場合、委任状に実印を押し、その印鑑を証明する書類を提出するのが一般的です。
法務局が示す売買による所有権移転登記の作成例でも、売主の印鑑について、作成後3か月以内の印鑑証明書を添付する手続きが案内されています。
そのため、売却を考え始めた段階で何枚も取得するより、実際に必要となるタイミングを不動産会社や司法書士へ確認してから取得したほうが無駄を避けやすいでしょう。
印鑑登録証明書は登録している市区町村で取得でき、自治体によってはマイナンバーカードを利用したコンビニ交付などに対応している場合もあります。
登記上の氏名や住所に変更がある場合は別の手続きが必要になることもあるため、証明書を取得する前に登記内容も確認しておくと安心です。
登記済権利証
自宅に保管している古い書類の中に、「権利証」や「登記済」の表示がある書類がないか探してみてください。
正式には登記済証と呼ばれ、以前は不動産の登記が完了した際に、所有者となった人へ交付されていました。
土地を売って所有権を買主へ移す際には、売主が登記名義人であることを確認する重要な資料として使用されます。
現在は登記識別情報が用いられる仕組みに変わっていますが、以前に取得した登記済権利証が無効になったわけではなく、そのまま所有権移転登記に利用できます。
そのため、登記済権利証を持っている場合は、次に説明する登記識別情報通知まで別に用意する必要は通常ありません。
再発行される書類ではないため、見当たらない場合でも自己判断で売却できないと考えず、早めに司法書士へ相談して必要な手続きを確認しましょう。
登記識別情報通知
比較的新しい時期に取得した土地では、冊子状の権利証ではなく、こちらの書類が交付されていることがあります。
登記識別情報は、不動産の登記によって新たに権利を取得した人へ通知される情報で、現在の不動産登記では従来の登記済証に代わる仕組みとして利用されています。
土地を売却して所有権移転登記を行う際には、売主側から登記識別情報を提供するのが原則的な手続きです。
書面には重要な情報が記載されているため、コピーをむやみに取ったり、第三者へ番号を見せたりせず、必要になるまで適切に保管しておきましょう。
登記済権利証を持っている人が登記識別情報通知も追加で取得するものではなく、所有権を取得した時期や当時の登記手続きによって、どちらが手元にあるかが異なります。
どの書類が該当するのか判断できない場合は、不動産会社や所有権移転登記を担当する司法書士に現物を確認してもらうと確実です。
固定資産税納税通知書
毎年自治体から届く税金関係の書類も、捨てずに手元へ用意しておくと売却準備が進めやすくなります。
固定資産税の納税通知書や同封される課税明細書には、所有している土地の所在地や地積、評価額、税額など、物件を確認するための情報が記載されています。
不動産会社が土地の情報を確認する際の資料になるほか、売買時に固定資産税や都市計画税の負担額を確認するため、提示を求められることがあります。
ただし、納税通知書そのものがすべての土地売却で一律に法定の提出書類となるわけではなく、取引内容や不動産会社の進め方によって必要となるタイミングは異なります。
課税明細書は自治体によって再発行の扱いが異なり、名古屋市では再発行せず、課税内容を確認する場合は名寄帳の写しを取得する仕組みとなっています。
見当たらない場合は、まず不動産会社へ代わりに何を用意すればよいか確認し、必要に応じて土地所在地の自治体へ問い合わせましょう。
固定資産評価証明書
手元に届く納税通知書とは異なり、必要になった段階で自治体へ申請して取得する証明書です。
土地の所有者や所在地、地積、固定資産税評価額などが記載されており、自治体の固定資産課税台帳に登録されている内容を公的に確認できます。
所有権移転登記などで登録免許税を計算する際に固定資産の評価額を確認する必要があるため、売買の決済や登記に向けて取得を求められることがあります。
取得方法や手数料、申請できる人は自治体によって異なりますが、市区町村の税務担当窓口などで交付を受けるのが一般的で、郵送や電子申請に対応している自治体もあります。
早い段階で取得すると、実際の決済時には新しい年度の証明書が必要になるケースもあるため、取得時期を自己判断で決める必要はありません。
不動産会社や登記を担当する司法書士に「何年度のものを、いつまでに用意すればよいか」を確認してから取得すると、二度手間を防ぎやすくなります。
土地に関する書類
登記事項証明書
売却する土地の権利関係を把握するには、まず登記されている内容を確認しておくことが重要です。
不動産登記には土地の所在や面積に加え、所有者の氏名・住所などが記録されており、登記事項証明書を取得すれば現在の登記内容を確認できます。
所有者が自分になっているか、登記上の住所が現住所と一致しているか、抵当権などの権利が残っていないかを確認する資料として、不動産会社の査定や売却準備でも活用されます。
土地を相続したものの相続登記が済んでいない場合や、住宅ローンを完済していても抵当権の抹消登記が済んでいない場合は、売却までに追加の手続きが必要になることがあります。
証明書は法務局の窓口や郵送のほか、オンラインでも交付請求が可能で、土地所在地を管轄する法務局以外から全国の不動産について請求することもできます。
査定の段階では不動産会社が登記情報を確認してくれることもあるため、自分で取得すべきか分からない場合は、先に担当者へ確認してから準備すると無駄を省きやすいでしょう。
公図
隣接する土地との位置関係を把握したいときは、登記情報だけでは分かりにくい部分を図面で確認します。
一般に公図と呼ばれるものは、法務局が備えている「地図」または「地図に準ずる図面」で、土地の地番や周囲の土地との配置関係を確認するために利用されます。
例えば、一つの敷地に見えていても登記上は複数の土地に分かれている場合があり、公図を見ることで売却対象となる土地の構成を把握しやすくなります。
ただし、公図は土地の配置を確認する資料であり、図面上の形や線だけを見て、現地の正確な境界位置や実際の距離まで判断できるとは限りません。
境界や面積を詳しく確認する必要がある場合は、地積測量図や過去の測量資料、現地に設置された境界標などと照らし合わせて判断することが大切です。
公図の証明書は法務局の窓口や郵送、オンラインで請求できるため、売却する土地の地番を把握したうえで必要に応じて取得しましょう。
地積測量図
登記されている土地の形状や測量に関する情報を詳しく確認したい場合に役立つ図面です。
地積測量図は法務局に備え付けられる図面の一つで、土地の分筆や地積更正など、一定の登記手続きに伴って作成・提出されたものを確認できます。
図面には土地の形状や辺長、面積の計算に使われた情報などが記載されていることがあり、不動産会社や土地家屋調査士が土地の状況を調べる際の資料になります。
一方、すべての土地について地積測量図が備え付けられているわけではなく、古くから登記されている土地などでは法務局に保管されていないケースもあります。
また、古い図面が残っていても現在の測量精度や現地の境界状況と一致するとは限らないため、地積測量図があることだけで境界が確定していると判断するのは避けたほうがよいでしょう。
法務局では地積測量図などの図面証明書を窓口、郵送、オンラインで請求できるため、必要性を不動産会社に確認したうえで取得すると準備を進めやすくなります。
確定測量図
現地の境界がどこにあるのかを明確にした資料が手元にあれば、売却時の確認を進めやすくなります。
一般に確定測量図と呼ばれる図面は、土地家屋調査士などが現地を測量し、隣接する土地の所有者などとの境界確認を踏まえて作成する測量図を指します。
法務局で取得する公図や地積測量図とは性格が異なり、以前に測量を依頼した際などに所有者へ渡され、そのまま自宅で保管されていることがあります。
売却する土地の面積や境界について買主へ説明しやすくなるため、過去の土地売買や分筆、建築の際に測量した記憶がある場合は、契約書類や図面をまとめて保管している場所を確認してみましょう。
手元にないからといって直ちに売却できなくなるわけではありませんが、境界が不明確な場合や買主から測量を求められる場合には、新たな測量が必要になる可能性があります。
測量や境界確定には隣地所有者との調整を伴うこともあるため、必要性が分かった段階で土地家屋調査士へ相談し、売買契約や引き渡しに間に合うよう余裕を持って進めることが大切です。
境界確認書
隣地との境目について過去に話し合った記録が残っている場合は、測量図と一緒に探しておきましょう。
国土交通省の資料では、境界確認書は実際に土地を測量し、隣地との境界確定の状況を書面化したものとして説明されています。
土地を売却する際に境界の位置を買主へ説明するうえで重要な資料となり、過去に隣地所有者と境界を確認している場合は、その経緯を把握する手掛かりにもなります。
確定測量図と境界確認書が保管されていれば、現地にある境界標との位置関係や、どの隣地所有者と確認を行ったのかを不動産会社や土地家屋調査士が確認しやすくなります。
書類が見当たらない場合や、古い確認書しか残っていない場合は、現在の所有者や現地の状況との整合性を調べ、新たな境界確認が必要かどうかを判断することになります。
境界を曖昧なまま売買すると引き渡し後のトラブルにつながるおそれがあるため、書類の有無だけで判断せず、不明点があれば売却活動を進める段階で不動産会社や土地家屋調査士へ相談しておくと安心です。
売却時期別の必要書類
査定前
価格の相談をする段階では、正式な契約や登記に使う書類をすべてそろえる必要はありません。
登記事項証明書や固定資産税納税通知書、課税明細書があれば、所在地や地番、面積、所有者などを確認しやすくなります。
公図や地積測量図、確定測量図、境界確認書も手元にある場合は、不動産会社へ提示すると査定の参考になります。
一方、登記事項証明書などは不動産会社側で確認できる場合もあるため、最初から費用をかけてすべて取得する必要はありません。
この時点では、登記済権利証または登記識別情報通知が手元にあるか確認し、見当たらなければ早めに担当者へ伝えておきましょう。
媒介契約時
売却を任せる不動産会社が決まったら、売主本人と対象の土地を確認できる資料を用意します。
一般的には、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類に加え、登記内容や固定資産税が分かる資料の提示を求められます。
測量図や境界関係の書類がある場合も、この段階でまとめて見てもらうと、その後の売却活動を進めやすくなります。
相続した土地や共有名義の土地では、登記名義や売却に関わる人を確認するため、追加書類が必要になることがあります。
印鑑登録証明書などは後の手続きで必要になるケースもあるため、契約日が決まったら、不動産会社へ必要書類と原本の要否を確認しておきましょう。
売買契約時
購入希望者との条件がまとまったら、売主と土地の情報を正しく確認できる状態にして売買契約へ進みます。
本人確認書類のほか、登記済権利証または登記識別情報通知、固定資産税関係の資料などを求められることがあります。
測量図や境界確認書がある場合は事前に提示し、土地の面積や境界、越境の有無などについて契約内容との食い違いがないか確認しておくことが大切です。
売買契約書には売買代金や引き渡し日などの条件が記載されるため、土地の地番や面積にも誤りがないか目を通しましょう。
登記済権利証や登記識別情報通知は引き渡し時にも必要になるため、確認後は紛失しないよう安全に保管してください。
引渡し時
売買代金の決済と所有権移転を行う段階では、登記に使う重要な書類を確実にそろえておく必要があります。
本人確認書類に加え、登記済権利証または登記識別情報、司法書士へ登記を依頼するための委任状などを準備します。
手続きによっては印鑑登録証明書も必要になるため、取得時期を含めて司法書士の案内に従うと安心です。
登記上の氏名や住所が現状と異なる場合や、抵当権が残っている場合は、追加の登記手続きや書類が必要になることがあります。
決済日に不足が分かると引き渡しへ影響するため、数日前までに不動産会社と司法書士から案内された持ち物を照合しておきましょう。
必要書類の取得先
市区町村
印鑑登録証明書や住民票などは、住民登録や印鑑登録をしている自治体で取得します。
固定資産評価証明書は、原則として土地が所在する自治体の税務担当窓口などへ申請する書類で、所有者や所在地、評価額などを確認できます。
窓口だけでなく、郵送や電子申請などに対応している自治体もありますが、利用できる方法や手数料は地域によって異なります。
特に遠方の土地を売却する場合は、現在住んでいる市区町村と土地所在地の自治体が異なるため、どこへ申請する書類なのかを分けて確認しましょう。
取得する年度や発行時期を指定されることもあるため、不動産会社や司法書士から必要な条件を聞いてから申請すると二度手間を防げます。
法務局
土地の登記内容や図面を確認する書類は、主に法務局で取得できます。
登記事項証明書のほか、公図と呼ばれる地図証明書や地積測量図などの図面証明書も交付請求が可能です。
これらは法務局の窓口や郵送に加え、オンラインで請求し、郵送または指定した窓口で受け取る方法も用意されています。
請求するときは住所だけでなく土地の地番が必要になることがあるため、固定資産税の課税明細書や権利証などで確認しておくとスムーズです。
ただし、査定時には不動産会社が登記情報を調べる場合もあるため、自分で取得する前に担当者へ必要性を確認しておきましょう。
手元で確認する書類
新たに取得するものだけでなく、以前から自宅で保管している資料も土地売却では重要です。
登記済権利証または登記識別情報通知、固定資産税納税通知書、課税明細書などがないか、契約関係の書類とあわせて探してみましょう。
過去に測量をしている土地では、確定測量図や境界確認書が保管されていることもあるため、土地を取得した際の資料一式を確認するのがおすすめです。
特に登記済権利証や登記識別情報通知は、見当たらないからといって同じものを簡単に再発行できる書類ではありません。
紛失に気づいた場合はそのままにせず、不動産会社や司法書士へ早めに伝え、売却までに必要となる対応を確認してください。
不動産会社に確認する書類
準備するものに迷ったときは、自己判断で取得を進めるより、不動産会社から必要書類の一覧をもらうと整理しやすくなります。
査定、媒介契約、売買契約、引き渡しでは必要となる資料が異なり、土地の名義や境界の状況によって追加書類が生じることもあります。
手元にある権利証や測量関係の資料は、名称だけでは判断しにくい場合があるため、現物や写しを見てもらうと確認がスムーズです。
また、印鑑登録証明書のように発行時期が重要になる書類は、必要になる段階を確認してから取得したほうが取り直しを避けやすくなります。
最初に「自分で取得するもの」「手元から探すもの」「不動産会社や司法書士が確認するもの」を分けておけば、必要のない書類まで準備する負担を減らせます。
土地の状況別に必要な追加書類
相続した土地
相続で取得した土地は、現在の登記名義が誰になっているかによって準備する書類が変わります。
亡くなった人の名義のままでは、そのまま通常の売却手続きへ進めないため、原則として相続人への相続登記を済ませる必要があります。
戸籍関係書類や遺産分割協議書などが必要になることもあるため、売却を検討し始めた段階で相続登記の状況を確認しておきましょう。
戸籍関係書類
相続登記では、誰が相続人に当たるのかを公的な書類で確認する必要があります。
遺産分割によって登記する場合は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍関係書類や、相続人の戸籍証明書などを用意するのが基本です。
相続関係によって必要な範囲は異なり、転籍や婚姻などで複数の市区町村から戸籍を取り寄せなければならないケースもあります。
すでに法定相続情報一覧図などを作成している場合は、手続きによって戸籍一式の代わりに利用できることがあるため、保管している書類を確認してみましょう。
必要な戸籍が分からない場合は、登記を依頼する司法書士に相続関係を伝え、取得する範囲を確認してから準備すると不足を防ぎやすくなります。
遺産分割協議書
相続人同士の話し合いで土地を取得する人を決めた場合は、その内容を記録した書面が相続登記で重要になります。
遺産分割協議書には、どの相続人がどの財産を取得するのかを記載し、相続人全員の合意を確認できる形に整える必要があります。
相続登記では、遺産分割協議書に押された印鑑を確認するため、相続人の印鑑証明書が必要になるケースがあります。
土地の所在地や地番などの記載が登記情報と一致していないと手続きに影響する可能性があるため、作成時には登記事項証明書と照らし合わせることが大切です。
遺言書がある場合などは手続きが異なることもあるため、必ず遺産分割協議書が必要になるとは限らず、相続の状況に合わせて判断しましょう。
相続登記関係書類
土地を売却する前には、相続による所有権移転登記を完了させ、売主となる人を登記上の所有者にしておくことが基本です。
相続登記では、戸籍関係書類に加えて、新たに所有者となる人の住民票や固定資産課税明細書などが必要になる場合があります。
2024年4月1日から相続登記の申請は義務化されているため、売却予定がなくても一定の条件に該当すれば登記手続きが必要です。
すでに相続登記を済ませている場合は、新しい登記名義や住所に誤りがないか登記事項証明書で確認しておくと、その後の売却準備が進めやすくなります。
相続人が多い場合や数世代にわたって名義変更されていない場合は手続きが複雑になりやすいため、早めに司法書士へ相談する方法もあります。
共有名義の土地
複数人で所有している土地を一つの不動産として売却する場合は、共有者全員の意思を確認しながら手続きを進める必要があります。
売買契約や所有権移転登記では、それぞれの共有者について本人確認や登記に必要な資料を準備することになります。
共有者が遠方に住んでいる場合などは書類の受け渡しにも時間がかかるため、売却活動を始める前に全員の状況を確認しておきましょう。
共有者の本人確認書類
土地全体を売却する場合は、共有者それぞれが売主となるため、各人について本人確認が行われます。
一般的には運転免許証やマイナンバーカードなど、氏名や住所を確認できる公的な身分証を準備します。
登記上の住所と現在の住所が異なる共有者がいる場合は、住所変更登記や追加の証明書類が必要になることもあります。
共有者の一人が遠方にいる場合でも、その人の確認を省略できるわけではないため、不動産会社や司法書士と早めに手続き方法を調整することが大切です。
共有者全員が同じ日に集まれない場合は、必要に応じて委任による対応ができるか確認し、契約や登記の日程に支障が出ないよう準備しましょう。
共有者の印鑑登録証明書
所有権移転登記では、共有者ごとに実印や印鑑登録証明書が必要になることがあります。
売主が登記申請に関する書類へ押印する場合、法務局の売買による所有権移転登記の記載例でも、売主について印鑑証明書と同じ印を使用する取扱いが示されています。
共有者が複数いる場合は、一人分だけ準備すればよいわけではなく、それぞれについて必要書類を確認することが重要です。
印鑑証明書には登記手続き上、発行時期に関する条件があるため、売却を考え始めた時点で取得するより、司法書士から案内された時期に用意したほうが取り直しを避けやすくなります。
共有者ごとに準備状況が異なると決済が遅れる可能性があるため、一覧にして確認すると管理しやすいでしょう。
登記住所が異なる土地
土地を取得した後に引っ越している場合は、登記簿に記録された住所と現在の住所が異なっていることがあります。
2026年4月1日から住所や氏名の変更登記が義務化されており、原則として変更日から2年以内に登記する必要があります。
売却時にも登記名義人と現在の本人が同一であることを確認する必要があるため、住所の移り変わりを証明できる書類を早めに確認しておきましょう。
住民票
以前の住所から現在の住所への移転を確認できる場合は、住民票の写しを住所変更登記の資料として利用できることがあります。
法務局でも、登記記録上の住所から現在の住所までのつながりを確認する書類として、住民票の写しなどが案内されています。
一度の引っ越しで住所の履歴が確認できるケースであれば比較的整理しやすいものの、複数回転居している場合は現在の住民票だけではつながりを証明できないことがあります。
その場合は、以前の住民票の除票や戸籍の附票など、過去の住所を追える資料が追加で必要になる可能性があります。
どの期間の証明が必要なのかは登記状況によって異なるため、取得前に司法書士へ登記事項証明書を見てもらうと無駄な申請を減らせます。
戸籍の附票
転居を繰り返しており、住民票だけでは登記上の住所から現在地までつながらない場合に役立つのが戸籍の附票です。
戸籍の附票には、その戸籍に在籍している間の住所履歴が記録されており、住所変更登記で過去の住所とのつながりを示す資料として利用されることがあります。
ただし、転籍や戸籍の改製などがあると、一通ですべての住所履歴を確認できず、複数の附票などが必要になるケースもあります。
登記上の住所がかなり以前のものである場合は、必要な履歴が保存されているかも含めて、市区町村へ確認しながら取得を進めることになります。
住所のつながりを証明できないと所有権移転登記にも影響するため、売買契約の直前ではなく、査定や媒介契約の段階で住所の相違に気づいておくことが大切です。
代理人が売却する土地
本人が契約や登記の手続きを行えない場合は、家族などの代理人に一定の手続きを任せる方法があります。
ただし、代理人ができることは委任された権限の範囲に限られるため、何を任せるのかを書面で明確にしておく必要があります。
売却条件や代金の受領まで任せるのかによって内容も変わるため、不動産会社や司法書士と相談しながら準備しましょう。
委任状
本人に代わって売買や登記の手続きを行う場合は、代理人に与える権限を確認できる委任状を用意します。
登記申請を代理人へ任せる場合には、代理権限を証明する情報として委任状などを提出する仕組みになっています。
委任状には対象となる土地や委任する手続きの内容などを記載し、代理人がどこまで対応できるのか分かるようにすることが重要です。
内容が曖昧だと契約や登記の場面で権限を確認できず、予定していた手続きを進められない可能性があります。
不動産会社や司法書士が指定する様式が用意されていることもあるため、自分で作成する前に必要な記載事項や押印方法を確認すると確実です。
代理人の本人確認書類
代理人を立てる場合でも、売主本人の確認に加えて、実際に手続きを行う代理人が誰なのかを確認する必要があります。
そのため、不動産会社との手続きでは、代理人にも運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提示を求められることがあります。
代理人の本人確認ができても、それだけで売主本人から正式に権限を与えられていることの証明にはならないため、委任状とあわせて準備することが大切です。
売主本人についても意思確認が行われる場合があり、代理人だけで契約や決済に臨めば必ず手続きが完了するとは限りません。
本人が遠方にいる、入院しているなど事情がある場合は、契約日が決まる前に不動産会社や司法書士へ伝え、必要な本人確認方法と書類を確認しておきましょう。
必要書類を紛失した場合の対処
登記済権利証を紛失した場合
手元を探しても権利証が見つからなくても、それだけで土地を売却できなくなるわけではありません。
登記済権利証は再発行されませんが、所有権移転登記では「事前通知」など、本人確認を行ったうえで手続きを進める方法が設けられています。
また、登記申請を司法書士などの資格者へ依頼し、本人確認情報を作成してもらう方法が利用されることもあります。
どの方法が適しているかは売却日程や登記の状況によって変わり、司法書士へ依頼する場合には費用も発生します。
紛失に気づいたら売買契約や決済の直前まで待たず、不動産会社や司法書士へ早めに伝え、必要な手続きと準備期間を確認しておきましょう。
登記識別情報通知を紛失した場合
登記識別情報通知が見当たらない場合も、同じ番号や通知書を新たに発行してもらうことはできません。
ただし、登記識別情報を提供できない事情を申告し、登記所から本人へ通知して確認する事前通知制度を利用して所有権移転登記を進める方法があります。
司法書士などの資格者が本人確認を行い、本人確認情報を提供する方法もあるため、紛失したからといって売却そのものを諦める必要はありません。
なお、登記識別情報の番号を第三者に知られた可能性がある場合は、単なる紛失とは状況が異なるため、その旨も司法書士や法務局へ伝えることが大切です。
決済日が近づいてから対応を始めると予定に影響することがあるため、所在を確認できない段階で担当者へ相談しておきましょう。
測量図がない場合
図面が自宅に残っていなくても、まずは法務局に地積測量図が備え付けられているか確認するとよいでしょう。
ただし、すべての土地に地積測量図が存在するわけではなく、古い土地などでは法務局にも図面がない場合があります。
さらに、地積測量図が見つかったとしても、その図面だけで現在の現地境界を正確に確認できるとは限りません。
売却にあたって正確な面積や境界の確認が必要になった場合は、土地家屋調査士へ依頼し、既存資料や境界標を調査したうえで測量を行う方法があります。
新たな測量には費用と時間がかかるため、買主や不動産会社からどの程度の測量を求められるのか確認してから依頼すると、不要な負担を避けやすくなります。
境界確認書がない場合
書類が見当たらないときは、過去の売買資料や測量関係のファイルに残っていないかを改めて確認してみましょう。
以前に土地家屋調査士などへ測量を依頼している場合は、当時の資料が残っている可能性もあるため、依頼先が分かれば問い合わせる方法もあります。
資料を確認できず、隣地との境界も明確でない場合には、土地家屋調査士による調査や測量、隣地所有者との境界確認が必要になることがあります。
当事者間で筆界の位置を確認できない場合には、法務局の筆界特定制度を利用して、筆界の位置について判断を求める制度もあります。
境界確認書がないことだけを理由に必ず新しい測量が必要になるわけではないため、土地の状況と売却条件を不動産会社へ伝え、必要に応じて土地家屋調査士へ相談しましょう。
売却前に確認するポイント
登記名義を確認する
所有者の情報に食い違いがあると、そのまま売買や所有権移転の手続きを進められないことがあります。
登記事項証明書などで、現在の所有者が誰になっているかを早めに確認しておきましょう。
特に相続した土地では、亡くなった人の名義が残っているケースがあるため注意が必要です。
また、住宅ローンを完済していても抵当権の登記が残っている場合は、抹消手続きが必要になることがあります。
査定を依頼する段階で登記内容を確認し、不明点があれば不動産会社や司法書士へ相談しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
登記住所を確認する
土地を取得してから引っ越している場合は、現在の住所と登記上の住所が一致しているかを確認しましょう。
2026年4月1日から、不動産所有者の住所や氏名に変更があった場合は、原則として変更日から2年以内の変更登記が義務付けられています。
義務化より前に住所などが変わっていた場合も対象となるため、以前から住所変更をしていない人は特に注意が必要です。
登記上の住所から現在の住所までのつながりによっては、住民票や戸籍の附票などの書類を使って変更手続きを行います。
売買の直前に気づくと準備が増えるため、登記事項証明書と本人確認書類の住所を早めに見比べておきましょう。
境界を確認する
隣地との境目が分かりにくい土地では、売却活動を始める前に現地と手元の資料を照らし合わせておくことが大切です。
確定測量図や境界確認書があれば、現地の境界標とあわせて不動産会社に確認してもらいましょう。
なお、登記上の土地を区画する「筆界」と、所有権が及ぶ範囲を示す「所有権界」は一致しない場合があります。
境界標が見つからない、隣地への越境が疑われるなど気になる点があれば、土地家屋調査士への相談が必要になることもあります。
境界の確認には時間がかかるケースもあるため、買主が決まってからではなく、売却準備の段階で状況を把握しておくと安心です。
証明書の発行時期を確認する
公的な証明書は、早めに取得すればよいとは限らないため、必要になる時期を確認してから準備しましょう。
例えば、売買による所有権移転登記で売主が提出する印鑑証明書は、原則として作成後3か月以内のものが必要です。
売却を検討し始めた時点で取得すると、決済までに期間が空き、取り直しが必要になる可能性があります。
固定資産評価証明書についても、実際の手続きで必要となる年度を確認してから取得したほうが無駄を避けやすくなります。
不動産会社や司法書士から必要書類の案内を受けた際は、種類だけでなく「いつ発行したものが必要か」まで確認しておきましょう。
権利証を確認する
契約が進んでから見当たらないことに気づくと、登記に向けた準備が増えてしまいます。
土地を取得した時期によって、手元にあるのは登記済権利証または登記識別情報通知のいずれかとなるのが一般的です。
登記済権利証は再発行できず、登記識別情報を紛失した場合も同じ情報を再び通知してもらうことはできません。
紛失していても事前通知などによって登記を進める方法はありますが、通常とは異なる対応が必要になります。
まず自宅に保管している売買関係の資料を確認し、見つからない場合は早めに不動産会社や司法書士へ伝えておきましょう。
まとめ
土地売却では、本人確認書類や権利証のほか、登記、固定資産税、測量に関する資料も確認しておく必要があります。
とはいえ、査定の段階ですべてをそろえる必要はなく、媒介契約、売買契約、引き渡しへ進む中で必要な書類を順番に準備すれば十分です。
相続や共有名義、登記住所の変更がある土地では、追加の書類や手続きも確認しておきましょう。
まずは自宅にある権利証、納税通知書、測量関係の資料を見直すところから始めてください。
足りないものが分かったら、不動産会社や司法書士に取得先と用意する時期を確認します。
早めに整理しておけば、契約や引き渡しの直前になって書類を探し回る事態も避けられます。
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戸建てを売却するなら知っておきたい!不動産売却の準備から流れまで
戸建ての不動産売却の成功への道は、正確な準備と情報に基づいた戦略にあります。この記事では、戸建て売却の基本的な手順から、効果的な売却準備、適切な査定方法の選択、不動産会社の選び方まで、網羅的に解説します。売却期間の予測や価格設定のアドバイス、さらに契約時の注意点や財務処理の詳細にも触れ、売却後の確定申告や税金対策についても説明します。2024/02/13
相続時に不動産売却を考えるなら?手続きと注意点を徹底解説!
相続という重要なライフイベントは、不動産売却の決断を迫ることがあります。この記事では、相続時の不動産売却の基本から、適切なタイミングとその影響、具体的な手順と必要な注意点について詳しく解説します。名義変更の手続きや必要書類、売却への法的手続きと期間など、売却プロセスの各ステップを分かりやすくご紹介します。また、売却に伴う税金計算や節税方法、特に重要な3000万円控除の条件についても詳しく説明します。相続税の申告手続き...2024/02/13
土地を高く売るコツとは?不動産売却時の知識を紹介!
不動産売却、特に土地を売る際には、多くの要素が関わってきます。 この記事では、土地売却における基礎知識から始め、成功に導くためのプロセスの概要、注意点、さらに相続土地の取り扱いについて詳しく掘り下げていきます。 また、売却までのステップ、土地測量の重要性、契約書の作成ポイントに加え、売却にかかる費用や税金についても明らかにし、土地の価値を高め、適切な不動産会社を選ぶための戦略を提案します。 この一連の流れを通じて、土...2024/02/21
不動産売却前に知っておくべき訳あり物件の全て!事故物件から買取まで徹底解説!
訳あり物件の売却には、特別な注意と準備が必要です。これらの物件は、法律的な問題や物理的な欠点を抱えていることが多く、市場での位置づけも異なります。 この記事では、そんな訳あり物件の売却プロセスを詳しく解説し、売却前の準備から、適切な不動産会社の選び方、売却時の経費削減方法まで、幅広くカバーしています。 不動産売却の際には、物件の査定や必要な書類の準備、さらには売却後の税金処理など、多くのステップが伴います。特に訳あ...2024/03/04