相続した家は名義変更前に売却できる?登記が必要な理由と手続きの流れを解説

2026/06/25

相続した家は名義変更前に売却できる?登記が必要な理由と手続きの流れを解説

相続した家を売りたいと思っても、親の名義のままで進めてよいのか迷い、手続きに踏み出せない方も少なくありません。

不動産は、登記簿上の所有者と売主が一致していることが取引の前提になるため、名義変更前のままでは契約や引き渡しまで進められないのが一般的です。

加えて、2024年4月1日から相続登記が義務化され、家を売る予定がある方にとって登記の確認は後回しにできない手続きになりました。

この記事では、相続した家を名義変更前に売却できるのかをはじめ、売却までの流れ、税金、放置した場合のリスクを順番に整理します。

相続した家は名義変更前に売却できる?

名義変更前は売却できない理由

親の実家を引き継いだ段階でも、登記簿上の所有者が故人のままでは、原則としてその家を自分の不動産として売ることはできません。

不動産の売却では、売主がその土地や建物を処分できる権利を持っていることが前提になるためです。

登記簿の名義が被相続人のままだと、買主や不動産会社から見て、誰が正式な所有者として契約できるのか判断しにくくなります。

例えば、相続人が複数いるケースでは、1人だけが売却を進めようとしても、他の相続人の同意がなければトラブルにつながる可能性があります。

査定や不動産会社への相談は名義変更前でも進められますが、売買契約や決済、引き渡しまで進むには、相続登記で所有者を明確にしておく必要があります。

そのため、売却を検討している場合は、まず家の名義と相続人の関係を整理することが大切です。

売却前に相続登記が必要な理由

家を買主へ引き渡すには、相続人の名義に変えたうえで、買主へ所有権を移す流れになります。

相続登記とは、亡くなった方の名義になっている不動産を、相続した人の名義へ変更する手続きのことです。

この手続きが完了していないと、売主として契約する人と登記簿上の所有者が一致せず、取引を安全に進めにくくなります。

法務省も、相続した不動産を売却する場合には相続登記が必要だと案内しています。

実務では、遺言書があるか、相続人が何人いるか、遺産分割協議が済んでいるかによって準備する書類や進め方が変わります。

戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などが必要になるケースもあり、書類の取得に時間がかかることもあります。

売却活動を早く始めたい場合でも、登記の準備を後回しにすると契約直前で手続きが止まる恐れがあるため、早い段階で司法書士や不動産会社へ相談しておくと安心です。

2024年から相続登記が義務化された理由

現在は、不動産を相続した人が一定の期限内に登記を申請することが法律上求められています。

背景には、所有者が亡くなった後も名義変更されない土地や建物が増え、管理や売買、公共事業などに支障が出る問題があります。

登記簿を見ても今の所有者が分からない状態になると、空き家の管理、固定資産税の対応、隣地との権利関係の確認などが複雑になりやすくなります。

この問題を防ぐ目的で、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由がないまま怠ると10万円以下の過料の対象になる可能性があります。

すぐに売却する予定がない家でも、名義を放置すると相続人が増えたり、必要書類の収集が難しくなったりする場合があります。

相続した家を売るかどうか迷っている段階でも、まずは登記の期限と必要な手続きを把握しておくことが、後の負担を減らすことにつながります。

相続した家を売却するために必要な手続き

相続人を確認する

最初に行うべきことは、誰が相続の権利を持っているのかを正確に把握することです。

家を売却するには、相続人の範囲が確定していなければ、その後の遺産分割協議や相続登記を進められません。

相続人は家族の認識だけで判断するのではなく、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得して確認します。

戸籍をたどることで、配偶者、子ども、兄弟姉妹など、法律上の相続人にあたる人を整理できます。

例えば、前婚の子どもや認知された子どもがいるケースでは、親族が把握していなかった相続人が見つかる可能性もあります。

相続人の確認を曖昧にしたまま売却を進めると、後から権利を持つ人が現れ、契約や代金の分配でトラブルになる恐れがあります。

売却を急ぐ場合でも、まずは戸籍謄本を集め、相続人全員を明確にすることが大切です。

遺産分割協議で相続する人を決める

相続人が複数いる場合は、誰が家を取得するのかを話し合いで決める必要があります。

遺産分割協議とは、相続財産をどのように分けるかを相続人全員で決める手続きです。

不動産は現金のように簡単に分けにくいため、1人が家を相続する方法や、共有名義にして売却代金を分ける方法などを検討します。

売却を前提にする場合は、誰の名義で相続登記を行い、売買契約をどのように進めるのかまで整理しておくとスムーズです。

話し合いがまとまったら、合意内容を遺産分割協議書として作成し、相続人全員が署名と押印を行います。

この書類は相続登記の申請にも使われるため、内容に不備があると法務局で手続きが止まる可能性があります。

公平な分配や税金の扱いに不安がある場合は、司法書士や税理士などの専門家に確認しながら進めると安心です。

相続登記で家の名義を変える

売却へ進むには、故人名義のままになっている家を相続人の名義へ変更します。

この手続きにより、登記簿上の所有者が明確になり、売主として不動産会社や買主と取引できる状態になります。

相続登記では、登記申請書、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などを用意するのが一般的です。

申請先は不動産の所在地を管轄する法務局で、土地と建物がある場合はそれぞれの内容を確認して手続きを進めます。

また、相続登記には登録免許税がかかり、通常は固定資産税評価額をもとに金額を計算します。

書類の収集や申請書の作成に不備があると、完了までに時間がかかることがあります。

売却予定がある場合は、決済や引き渡しの時期に影響しないよう、早めに司法書士へ依頼することも検討しましょう。

売買契約を結ぶ

名義変更が完了したら、不動産会社を通じて買主と売却条件を固めていきます。

売買契約では、売却価格、手付金、引き渡し時期、契約不適合責任、付帯設備の扱いなどを契約書に記載します。

相続した実家や空き家では、建物の劣化、残置物、境界の不明確さなどが問題になることもあります。

そのため、契約前には物件の状況をできるだけ確認し、買主へ伝えるべき内容を不動産会社と整理しておくことが重要です。

共有名義で売却する場合は、共有者全員が売主になるため、契約時の署名や押印、印鑑証明書の用意が必要になります。

遠方に住んでいる相続人がいるときは、契約や決済に必要な書類を事前に準備し、当日の流れを確認しておくと手続きが滞りにくくなります。

相続した家の売却は通常の不動産売買より確認事項が多いため、登記、税金、契約の段階を分けて丁寧に進めることが大切です。

名義変更前に売却を急ぐときの進め方

先に相続登記を進める

売却を早く進めたい場合ほど、まず登記の準備を優先することが大切です。

査定や不動産会社への相談は名義変更前でもできますが、売買契約や決済の段階では、売主が登記簿上の所有者になっている必要があります。

そのため、買主が見つかってから慌てて相続登記を始めると、書類の取得や相続人全員の合意に時間がかかり、取引の予定がずれる可能性があります。

特に、相続人が複数いるケースや、遠方に住んでいる家族がいるケースでは、戸籍謄本や印鑑証明書の収集だけでも手間がかかります。

遺言書がある場合と、遺産分割協議で相続する人を決める場合でも、必要な手続きは変わります。

売却を急ぐなら、不動産の査定と同時に相続登記の準備を始め、契約前に名義変更を完了できる流れを作っておくと安心です。

不動産会社へ早めに相談する

家を売る予定があるなら、名義変更が終わる前でも不動産会社へ相談しておくと、売却までの見通しを立てやすくなります。

相続登記が未了の段階では正式な売却完了までは進められませんが、物件の価格査定、売却方法の提案、必要な準備の確認は可能です。

例えば、仲介で買い手を探すのか、買取で早く現金化するのかによって、売却期間や価格の考え方は変わります。

空き家になっている実家では、残置物の整理、建物の状態、土地の境界、固定資産税の負担なども売却前に確認しておきたい項目です。

不動産会社に早めに相談すれば、相続登記が完了した後にすぐ売却活動へ移れるよう、広告開始の時期や必要書類を事前に整理できます。

ただし、相続人全員の合意がないまま売却前提で話を進めると、後で家族間のトラブルになる恐れがあります。

相談時には、名義変更前であることや相続人の状況を正直に伝え、無理のない進め方を確認しましょう。

司法書士へ依頼する

登記の手続きに慣れていない場合は、司法書士へ依頼すると負担を抑えながら進めやすくなります。

相続登記では、相続人の確認、必要書類の収集、申請書の作成、法務局への提出など、専門的な作業が必要になるためです。

自分で申請することもできますが、戸籍の読み取りや遺産分割協議書の内容に不備があると、法務局から補正を求められ、完了までに時間がかかる場合があります。

売却を急いでいるときは、登記が遅れることで売買契約や決済の予定に影響する可能性もあります。

司法書士に依頼すれば、相続人の構成や不動産の内容に合わせて、どの書類を用意すべきか具体的に案内してもらえます。

費用としては登録免許税のほか、司法書士報酬が発生するため、事前に見積もりを確認しておくと安心です。

手続きの正確さと時間を重視するなら、早い段階で専門家に相談することが現実的な選択になります。

必要書類を集めておく

手続きを止めないためには、使う可能性が高い書類を早めにそろえておくことが重要です。

相続登記や売却では、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、印鑑証明書、遺産分割協議書などが必要になるケースがあります。

被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める場合、本籍地が複数の市区町村に移っていると、取得に時間がかかることもあります。

相続人が遠方に住んでいる場合は、印鑑証明書の取得や書類への署名押印にも日数を見込んでおく必要があります。

また、登記簿謄本や固定資産税の納税通知書があると、不動産会社や司法書士が物件の内容を確認しやすくなります。

必要書類は相続の状況、遺言書の有無、共有名義にするかどうかによって変わるため、自己判断で進めすぎないことも大切です。

早めに書類を集めながら、専門家に不足や不備を確認してもらうことで、名義変更から売却までの流れを進めやすくなります。

相続した家を売却するときの注意点

相続人全員の合意が必要になる

家を売る前には、相続人の間で売却に対する考えをそろえておく必要があります。

相続した不動産は、遺産分割協議が終わるまで相続人全員に関係する財産として扱われるため、1人の判断だけで売却を進めるとトラブルにつながる可能性があります。

特に、実家への思い入れがある人、売却価格に納得していない人、賃貸や空き家管理を希望する人がいる場合は、話し合いが長引きやすくなります。

共有名義で相続登記をした場合も、売買契約では共有者全員が売主となり、署名や押印、印鑑証明書の用意が必要になります。

遠方に住む相続人がいると、書類のやり取りや契約日の調整にも時間がかかるため、早い段階で連絡を取り合うことが大切です。

売却代金の分配方法まで決めておけば、契約後の不満や誤解を防ぎやすくなります。

不動産会社へ相談する前後の段階で、相続人全員の同意を確認し、合意内容を遺産分割協議書などの書面に残しておきましょう。

相続税がかかる可能性がある

家を相続したからといって、必ず相続税が発生するわけではありません。

相続税は、不動産、現金、預貯金、有価証券などの相続財産の合計額が、基礎控除額を超える場合に申告や納税が必要になる仕組みです。

土地や建物は、売却価格ではなく相続税評価額をもとに計算されるため、実際にいくらで売れるかとは金額が異なることがあります。

また、相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

期限までに申告しなかった場合や、実際より少ない金額で申告した場合は、加算税や延滞税がかかる可能性があります。

売却代金を相続税の納税資金に充てたいケースでは、売却時期と申告期限の両方を意識して進めることが大切です。

不動産の評価や特例の適用は判断が難しいため、相続財産の金額が大きい場合は、早めに税理士へ相談しておくと安心です。

譲渡所得税がかかる可能性がある

相続した家を売って利益が出た場合は、譲渡所得として税金の対象になることがあります。

譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算するため、売却代金の全額に税金がかかるわけではありません。

取得費には、被相続人がその家を購入したときの価格や購入時の諸費用などが含まれる場合があります。

購入時の契約書や領収書が見つからないと、取得費の計算が不利になる可能性があるため、実家に残っている書類も確認しておきましょう。

土地や建物を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかによって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、税率も変わります。

相続した不動産では、原則として被相続人の取得時期を引き継いで所有期間を判断するため、税額の見通しは売却前に確認しておくことが大切です。

利益が出そうな場合は、確定申告の有無や納税額を税理士へ相談し、売却後に慌てないよう準備しておきましょう。

税金を安くできる特例がある

一定の条件を満たす場合は、相続した空き家を売却したときの税負担を軽くできる制度があります。

代表的なものに、被相続人の居住用財産を売ったときの特例があり、要件に当てはまると譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる場合があります。

この特例は、相続や遺贈で取得した家屋や敷地を、一定の期間内に売却することなどが条件になります。

ただし、2024年1月1日以後の譲渡で、対象の家や土地を取得した相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり最高2,000万円までになる点に注意が必要です。

家屋の状態、耐震基準、解体の有無、売却時期、相続人の人数などによって適用できるかどうかが変わります。

また、特例を使うには確定申告が必要になるため、売却後に自動で税金が安くなるわけではありません。

相続した家の売却では、登記や契約だけでなく税金の差も大きくなることがあるため、売却前に不動産会社と税理士へ確認しておくと判断しやすくなります。

名義変更を放置すると起こるリスク

家を売却できない状態が続く

手続きを後回しにすると、売りたいと思ったタイミングで取引を進められない可能性があります。

登記簿上の所有者が故人のままでは、売主として誰が契約するのかを明確にできないためです。

不動産会社に査定を依頼したり、売却価格の目安を確認したりすることはできますが、買主との売買契約や決済まで進むには相続登記が必要になります。

例えば、買い手が見つかった後に名義変更を始めると、戸籍謄本の取得、遺産分割協議書の作成、相続人全員の署名押印に時間がかかることがあります。

その間に買主の事情が変われば、契約の機会を逃す恐れもあります。

空き家のまま維持管理を続ける場合は、固定資産税や修繕費の負担も発生し続けます。

売却を少しでも検討しているなら、名義変更を早めに進め、いつでも取引できる状態に整えておくことが大切です。

相続人が増えて話し合いが難しくなる

時間が経つほど、家族間の協議が複雑になりやすくなります。

相続登記をしないまま相続人の誰かが亡くなると、その人の配偶者や子どもが新たな相続人として関係する可能性があるためです。

最初は兄弟姉妹だけで話し合えばよかったケースでも、次の相続が発生すると、甥や姪など普段あまり連絡を取らない親族まで同意が必要になることがあります。

相続人が増えると、売却するか残すか、売却代金をどう分けるか、誰が管理費用を負担するかといった判断もまとまりにくくなります。

連絡先が分からない人がいる場合は、所在確認や書類のやり取りだけでも大きな手間になります。

共有名義の人数が増えれば、売買契約時の署名押印や印鑑証明書の用意も煩雑になります。

将来の負担を広げないためにも、相続が発生した段階で権利関係を整理し、話し合いの内容を早めに書面化しておきましょう。

過料がかかる可能性がある

現在は、相続によって不動産を取得した人に相続登記の申請義務があります。

2024年4月1日から制度が変わり、相続で土地や建物を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります。

正当な理由がないまま期限を過ぎると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。

過料は刑罰ではありませんが、手続きを放置した場合に金銭的な負担が生じる制度です。

また、この義務化は2024年4月1日より前に発生した相続にも関係するため、以前から名義変更していない実家がある場合も注意が必要です。

期限の考え方や必要書類は、相続の発生時期や不動産の状況によって確認すべき点が変わります。

不安がある場合は、法務局や司法書士に相談し、いつまでに何を申請すべきかを把握しておくと安心です。

権利関係が複雑になる

名義をそのままにしておくと、誰がどの割合で権利を持っているのか分かりにくくなります。

相続登記をしない間も、相続人には法律上の権利が発生しているため、登記簿だけでは実際の所有関係を確認しにくい状態になります。

その結果、売却だけでなく、賃貸、解体、リフォーム、担保設定などを検討するときにも、誰の同意が必要なのか整理しなければなりません。

特に土地と建物で名義が異なる場合や、遺言書の内容と相続人の認識が食い違う場合は、手続きがさらに難しくなることがあります。

権利関係が複雑になると、不動産会社が売却活動を進めにくくなり、買主も取引に慎重になりやすくなります。

後から解決しようとすると、戸籍の収集や相続人への連絡、協議書の作成に多くの時間と費用がかかる場合があります。

相続した家を安心して管理し、必要なときに売却できるようにするには、早めに登記を済ませて権利関係を明確にしておくことが重要です。

まとめ

相続した家を売却するには、相続人を確認し、家を引き継ぐ人を決めたうえで、相続登記を済ませる流れが基本です。

名義変更前でも査定や相談はできますが、売買契約や決済へ進むには、登記簿上の所有者を明確にしておく必要があります。

相続税や譲渡所得税、空き家の特例などは、家の状況や相続人の人数によって扱いが変わるため、売却前に確認しておくと余計な負担を避けられます。

手続きを後回しにすると、相続人が増えたり権利関係が複雑になったりするため、早めに不動産会社や司法書士へ相談し、登記と売却準備を同時に進めていきましょう。

この記事のタイトルとURLをコピーする

この記事を書いた事務所

みかづき不動産株式会社

みかづき不動産株式会社

東京都葛飾区で不動産売却は、みかづき不動産にお任せください。葛飾区・江戸川区の土地、マンション、一戸建ての売却・査定を得意とし、豊富な実績と地元の相場情報を基に、お客様の物件売却をサポートします。相続や離婚、訳あり物件のお悩みも気軽にご相談いただけます。

関連記事

本條 真経

葛飾区・江戸川区で
不動産の売却や買取は
みかづき不動産にお任せください!