再建築不可物件でも買い手はつくのか?不動産売却や買取の方法と査定のポイントを徹底解説

2025/09/30

再建築不可物件でも買い手はつくのか?不動産売却や買取の方法と査定のポイントを徹底解説

「再建築不可」と聞くと「売れない物件」という印象を持つ方も多いですが、実際には工夫次第で買い手がつく可能性があります。

接道条件や用途の多様性、価格帯の設定方法を見直すことで、投資家や隣地所有者など幅広い層にアプローチする道が開けます。

また、現金購入者や特定のニーズに応じた資料・情報提供を整備すれば、制約がある物件でも魅力的に映ります。

本記事では、再建築不可物件の特徴と需要、そして「買い手がつくのか」という疑問に応えるポイントを分かりやすく解説します。

「再建築不可」でも売れる?

売れる物件・売れにくい物件の見分け方

再建築不可物件といっても、すべてが一律に「売れない」というわけではありません。

買い手が見込める物件には一定の特徴があり、特に接道条件の改善余地があるかどうかが大きなポイントとなります。

例えば、幅員が2メートル未満でも、将来的にセットバックで再建築が可能になる可能性がある物件や、敷地の形状が整っていて利用しやすい土地は、相場よりも関心を集めやすい傾向があります。

一方で、極端な旗竿地や著しく老朽化が進んだ建物、越境や未登記部分がある場合などは買い手が付きにくくなります。

物件の現状を正しく把握し、「再建築不可でも活用価値がある」と判断される条件を洗い出すことが、売却成功の第一歩です。

住む・貸す・セカンド拠点、用途で変わる需要

再建築不可物件の需要は「居住用」だけではなく、「賃貸用」「セカンドハウス」「倉庫代用」など多様な目的に分散しています。

例えば、住宅ローンを利用せず現金購入を想定している投資家にとっては、リフォーム後に賃貸収入を得るという投資判断がなされるケースがあります。

また、地方での物件であれば、週末の拠点や作業場としてのニーズが根強く、価格帯次第で買い手の層が変化します。

物件の立地や建物の状況を踏まえ、「どのような使い方が想定できるか」を明確にすることで、適切なターゲットに訴求できます。

需要は一見限定的に見えても、用途別に細かく分解すれば可能性が広がります。

相場の目安とねらい目の価格帯

再建築不可物件の相場は、同エリア内の再建築可能な土地や建物と比較して2〜5割ほど安くなる傾向があります。

ただし、価格設定は一律ではなく、私道の持分状況や接道の改善可能性、建物の使用可否によって大きく変動します。

特に需要の見込めるエリアでは「相場より少し低め」の価格帯に設定することで、早期売却や指値交渉の回避につながります。

一方、価格が高すぎると「この価格であれば再建築できる物件を選ぶ」という判断が優先され、問い合わせすら減ってしまいます。

「安すぎる」と逆に不安を抱かれるため、相場と実勢価格、物件状況を冷静に見極めて価格を設計することが重要です。

買ってくれる人は誰?

再建築不可物件を購入する層には、主に3つのタイプが見られます。

1つ目は、利回り重視の不動産投資家です。建物が使用可能であれば、賃貸運用を前提に購入されるケースが多く、収益性が重視されます。

2つ目は、周辺に住む隣地所有者や近隣住民で、敷地拡張や将来の資産価値向上を見込んだ取得です。

3つ目は、現金でマイホームを取得したいが予算が限られている方で、建て替えは不要という前提で「居住目的」で購入されるパターンもあります。

それぞれ求める条件が異なるため、「誰に向けた物件なのか」を明確にし、それに合った情報提供や条件設計が求められます。

なぜ敬遠されるのかを理解する

接道や法令のハードルについて

再建築不可物件が敬遠される最大の理由は、建築基準法の接道義務を満たしていない点にあります。

通常、建物を新たに建築するには、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していることが必要です。

しかし再建築不可物件では、道路と見なされない通路や、幅員が基準未満の私道、またはそもそも道路に接していないケースもあります。

この状態では新築や増築、建替えが制限され、建物を自由に活用できないため、将来的な活用余地が限られてしまいます。

接道義務をクリアできる可能性があるかどうかを事前に把握しておくことが、売却成功の分かれ目になります。

ローンが付きにくい理由と対処の方向性

再建築不可物件は、住宅ローンを利用する際の「担保評価」が低く見積もられるため、多くの金融機関で融資対象外となります。

特に建物の老朽化や違法建築の懸念がある場合、融資自体が断られる可能性が高く、買い手の選択肢が限定される要因となります。

このような背景から、現金購入を前提とした売却戦略を立てることが現実的です。

一部の金融機関やノンバンクでは、再建築不可物件でもローンを組める商品を扱っている例もあるため、買い手への紹介用資料として調査しておくと安心です。

売却側としても、金融機関の対応方針を事前に把握することで、スムーズな取引につなげることが可能になります。

売りやすさ・売りにくさ(出口リスク)とは

購入後の「売却のしやすさ(出口戦略)」を懸念して、買い手が再建築不可物件を敬遠するケースも多くあります。

再建築不可物件は、時間の経過とともに建物の価値が下がり、活用方法が限られていく傾向があるため、再売却時の価格下落リスクが高いと判断されがちです。

こうしたリスクは、投資家や相続目的で購入を検討している方にとっては特に重大な判断材料となります。

「自分が売った後にその買い手が困らないか」を考慮する視点で情報を提示することが、購入の後押しにつながります。

具体的な用途提案やリスク説明を含めた「未来の活用像」を見せることが大切です。

建物の劣化・越境・未登記などの注意点

建物の老朽化や越境、未登記部分の存在もまた、再建築不可物件が敬遠される要因です。

特に隣地への屋根や基礎の越境は、トラブルの火種となり、売却時に交渉が難航する恐れがあります。

また、建物が未登記のまま放置されていると、所有権移転時に手続きが煩雑になり、買い手に不安を与えます。

こうしたリスクを避けるためには、事前に建物状況調査(インスペクション)を行い、状態を把握・是正しておくことが有効です。

必要に応じて登記簿の整備や越境解消の書面取り交わしも行い、安心して購入できる状態を整えることで、買い手の警戒感を和らげることができます。

買い手を集めるための価格と条件の作り方

現状のまま売る?手直しする?引渡し条件の決め方

再建築不可物件の売却では、「現況引渡し」と「リフォーム・整備後の引渡し」のどちらにするかで買い手層が大きく変わります。

現況のまま売却する場合、価格を抑えることで投資家やDIY志向の買い手に訴求できますが、建物の状態が悪ければ敬遠されるリスクも高まります。

一方、ある程度の手直しや荷物整理、簡易清掃を行ったうえでの引渡しは、内見時の印象が良くなり、価格交渉を受けにくくなるメリットがあります。

ただし過剰なリフォームは投資回収が難しくなるため、「最低限の手入れ」に留めることがポイントです。

引渡し条件として、残置物処理や境界の明示などを事前に整理しておくことで、買い手に安心感を与えることができます。

指値(値下げ交渉)に強い見せ方

価格交渉を避けるためには、「値下げ余地がなさそう」と感じさせる物件の見せ方が重要です。

具体的には、現況のままでも収益化可能な想定利回りや、現地調査済みの境界・越境情報などを明示することが効果的です。

「今すぐ使える状態」であることを示すことで、買い手に対して「これ以上の条件改善は期待できない」という心理的ブレーキをかけることができます。

また、取引実績や周辺相場と比較した価格設定の根拠を示すことで、価格の正当性を担保できます。

価格交渉に備えて、あえて少し高めに出しておく戦略もありますが、それは内見数や反響状況を見ながら柔軟に対応すべきです。

まずは近隣・隣地に声をかけるコツ

再建築不可物件の売却成功率を高めるうえで、近隣住民や隣地所有者へのアプローチは極めて有効です。

とくに隣接地の所有者であれば、将来的に土地を一体活用できる可能性があるため、購入メリットが高まります。

声のかけ方としては、「売却を予定しているが、まずは近隣の方に優先してお声がけしている」といった丁寧な伝え方が効果的です。

不動産会社を通じて案内状を出したり、ポスティングを活用する方法もあります。

直接交渉が難しい場合でも、近隣に訴求することを意識しておくと、思わぬ反応を得られることもあります。

投資家に刺さる数字の出し方(利回り・賃料想定)

再建築不可物件の買い手として有力なのが「投資家層」です。

この層に訴求するためには、感覚的なアピールではなく、利回りや賃料想定といった「数字」での説明が不可欠です。

たとえば「家賃5万円で賃貸した場合、年間60万円の収入に対して販売価格が400万円であれば、表面利回り15%」といった形で、数字に基づいたシナリオを示すことで、投資判断を後押しできます。

周辺の家賃相場や過去の成約事例、リフォーム費用の概算などもセットで提示することで、購入後の運用イメージを具体化できます。

再建築不可という制限がある分、利回りや投資効率で納得感を与えることがカギとなります。

「再建できる形」に近づけられるかを確認する

セットバックで接道を満たせるか

再建築不可の大きな要因である「接道義務の未達」は、敷地の一部を後退させる「セットバック」で解消できるケースがあります。

たとえば、幅員4メートル未満の道路に接している物件であれば、中心線から2メートル後退することで、建築基準法上の接道条件をクリアできる可能性があります。

ただし、セットバックによって敷地面積が減少するため、建ぺい率や容積率の制限を再計算する必要があります。

現地の道路種別や自治体の判断によって認められない場合もあるため、事前に役所の建築指導課に確認することが不可欠です。

将来的な建替えを視野に入れて購入する買い手にとって、セットバックの可否は大きな判断材料となるため、売主側で情報を整理しておくことが信頼構築につながります。

私道や位置指定道路の整理ポイント

接道している道路が「私道」や「位置指定道路」の場合、再建築の可否はその権利関係に大きく左右されます。

私道負担部分の所有者や持分の明確化がされていないと、再建築許可や建築確認申請が下りないことがあります。

また、位置指定道路であっても、指定番号が失効していたり、舗装や通行状態に問題がある場合、再建築が難航する可能性があります。

売却前に、謄本や公図、道路台帳などをもとに「法定外道路なのか」「持分割合は適正か」「他の所有者との協議余地があるか」などを確認しておくことが重要です。

不明点がある場合は、測量士や司法書士、不動産会社と連携して、法務上の課題を整理・見える化しておくことで、買い手への不安材料を減らせます。

隣地の一部取得・通行掘削承諾の可能性

接道条件を満たすために、隣地の一部を取得する、または通行・掘削の承諾を得ることで、再建築可能になる場合もあります。

たとえば、隣地の通路と合わせれば2メートル以上の間口が確保できるといったケースでは、売却前に隣地所有者と協議を行い、合意を得ておくことで物件価値が一変することもあります。

通行掘削承諾書とは、水道・ガス・排水管などの敷設や修繕工事の際に、隣地の一部を使用することへの同意を示す書面で、これがあることで再建築が現実的になります。

このような交渉は簡単ではありませんが、誠意を持って条件を提示すれば、合意が得られることも少なくありません。

物件の潜在的価値を引き出すためにも、隣地との関係性や交渉余地を見極める視点は欠かせません。

用途変更や増改築ができるかのチェック

再建築が不可でも、現存建物の「用途変更」や「増改築」によって、実用性や資産価値を高めることは可能です。

例えば、住宅として利用していた建物を事務所や倉庫などに変更したり、一部をリフォームして貸室として運用するなど、建物の法令適合性を前提とした活用が検討できます。

ただし、用途地域や都市計画法上の規制により制限される場合があるため、事前の調査が不可欠です。

このような活用可能性を「買主にとっての利点」として提示することで、売却活動の訴求力が高まります。

役所への事前相談の進め方

用途変更や増改築の可否を判断するには、役所への事前相談が欠かせません。

建築指導課や都市計画課に出向き、「建築確認申請が通るか」「増築部分に制限があるか」など、物件に関する具体的な質疑を行います。

その際には、建物図面や土地の測量図、過去の建築確認通知書などがあると、相談がスムーズに進みます。

相談内容は記録しておき、買主に開示することで信頼性を高める効果があります。

役所の見解は将来の改修計画に大きく影響するため、可能であれば書面での回答を取得するようにしましょう。

図面・測量図・境界標のそろえ方

物件の価値や利用可能性を判断するうえで、図面や測量図、境界標の整備は欠かせません。

古い登記簿だけでは不十分なことが多く、現地の正確な面積・形状・隣地との境界関係を把握するには、最新の測量図が必要です。

可能であれば土地家屋調査士に依頼し、現況測量を実施するとともに、境界標の有無を確認しておくと安心です。

境界が不明瞭なまま売却を進めると、引渡し後にトラブルとなるリスクがあります。

買い手の安心材料として、図面類を整理・提示する姿勢が、信頼される売主への第一歩です。

資金・ローンの現実的な組み立て

現金購入が多いのはなぜ?出回る価格帯の傾向

再建築不可物件の購入では、金融機関からの住宅ローンが使いにくいため、現金での取引が主流となっています。

担保評価が低く設定されることや、法的リスクを銀行側が避ける傾向にあるため、融資審査に通りづらいのが理由です。

そのため出回る価格帯も、現金一括で購入しやすい数百万円〜1,000万円台前半に集中する傾向があります。

この価格帯であれば、リフォーム費用や登記関連費用を含めても、総予算が見通しやすいため、個人投資家や資産を現金で保有している層にとって魅力的です。

価格設定を考える際には、買い手が「現金で払えるか」「投資として見合うか」という視点を意識することが重要です。

使えるかもしれないローン

一般的な住宅ローンは再建築不可物件では利用できないケースが多いですが、全ての融資が不可というわけではありません。

一部の金融機関では、リフォームローンや無担保ローン、小規模事業者向け融資など、特定条件下で再建築不可にも利用できる商品があります。

また、フラット35では建築可能性や構造基準を満たす場合に、限定的ながら融資を検討できる事例も存在します。

こうした特殊ローンは金利が高めだったり、審査基準が厳しいため、必ずしも万人向けではありませんが、買い手に選択肢を提示できるだけでも安心感を与える材料となります。

売主側でこうした情報を整理し、不動産会社経由で買主に伝えられるように準備しておくと、商談の成立率が高まります。

評価が出やすい条件とは

物件評価が出やすいケースとしては、まず建物が比較的新しく、使用可能であることが挙げられます。

法令に適合した構造で建築されていることや、耐震基準を満たしていること、また公共インフラ(水道・下水・電気・ガス)が正常に機能していることも評価対象になります。

さらに、接道が私道であっても、複数人による持分共有が明確で、通行・掘削承諾書が整備されている場合など、再建築へのハードルが下がると見なされる条件もプラス評価になります。

買主側の融資判断は物件そのものだけでなく、法務状況・周辺インフラ・将来性などを総合的に見て行われるため、そうした情報を開示できる準備が売主には求められます。

評価が出れば現金以外の選択肢も視野に入り、買い手層の拡大にもつながります。

売主が用意しておくべき書類セット

売却をスムーズに進めるには、買主や金融機関が判断しやすいよう、必要書類を事前に整理しておくことが重要です。

具体的には、登記簿謄本、公図、測量図、建築確認通知書、建物図面、固定資産税課税明細書、私道の通行・掘削承諾書などが挙げられます。

また、境界に関する資料や建物のインスペクション報告書、ライフラインの契約状況も併せて用意しておくと、買い手の安心感が高まります。

これらの書類は、不動産会社に一任するのではなく、売主自らが確認・保管し、必要に応じて即時提出できる体制を整えておくことが望ましいです。

情報の透明性を確保することで、トラブルの予防だけでなく、価格交渉を抑える効果も期待できます。

不安を減らす「見える化」と説明のコツ

重要事項で押さえるべきポイント

再建築不可物件は通常の不動産よりも購入ハードルが高いため、重要事項説明での丁寧な情報提供が欠かせません。

特に、接道状況・再建築制限・私道負担の有無・建物の登記状態・越境の可能性・ライフラインの整備状況などは、必ず明記し買主と共通認識を持つ必要があります。

あいまいな表現や曖昧な図面による説明ではなく、客観的な根拠資料に基づいた説明を徹底することが重要です。

万が一説明漏れや誤認があると、契約後にトラブルへ発展するリスクがあるため、仲介業者と連携しながら慎重に内容を詰めていきましょう。

「知っていれば避けたかもしれない情報」は、隠さず積極的に開示する姿勢が、信頼形成の第一歩となります。

建物状況調査(インスペクション)のメリット

築年数が経過した建物では、現況を把握するための建物状況調査(インスペクション)が有効です。

インスペクションとは、第三者である建築士などの専門家が建物の劣化状態や構造的問題点を確認し、報告書としてまとめる調査のことです。

再建築不可物件では「壊す前提」で見られがちですが、インスペクションによって「まだ使用できる」「リフォームで延命可能」といった判断がつけば、買い手の検討材料になります。

また、事前に不具合箇所が可視化されることで、売主側の責任範囲が明確になり、免責条項の設定にも役立ちます。

費用は数万円程度で済む場合が多く、価格交渉を抑える対策としても費用対効果の高い施策です。

越境・擁壁・配管を図や写真で示す

不動産取引において、現地での視認が難しいポイントこそ「見える化」が求められます。

たとえば、隣地への屋根や基礎の越境、擁壁の状態や高さ、配管経路など、専門的でイメージしづらい部分は、写真や図面で丁寧に説明することが大切です。

特に擁壁や排水管が共有敷地や隣地をまたいでいる場合、管理区分や修繕費の負担範囲も明記しておくとトラブル防止につながります。

可能であれば、写真に矢印や注釈を入れた説明資料を用意するなど、視覚的な補足を加えると理解度が高まります。

買主が安心して判断できるよう、誠実な情報提供を心がけましょう。

ハザード・地盤・浸水リスクの伝え方

近年の自然災害を背景に、ハザードマップや地盤リスクの確認は買主にとって非常に重要な判断材料です。

売主としても、該当地域の自治体が提供するハザードマップ(洪水・土砂・高潮など)をあらかじめ取得し、該当の有無を明示しておくことが望まれます。

また、地盤情報は国土交通省の「地盤サポートマップ」など無料のオンラインツールでも確認できるため、必要に応じて資料化し、説明に活用しましょう。

浸水履歴や修繕履歴がある場合は、その記録を正直に開示しつつ、対応済みであることや再発防止策が取られていることも併せて伝えると安心材料になります。

見えないリスクこそ誠実に開示し、「納得して買ってもらう」姿勢が信頼構築につながります。

集客と掲載のしかたで反響を伸ばす

どの媒体に出す?反応が出やすい書き方

再建築不可物件のように限定的なニーズを持つ物件は、掲載媒体の選び方と文章表現が反響数を大きく左右します。

SUUMOやアットホームなど大手ポータルサイトのほか、不動産投資家が多く集まる収益物件専門サイト、地元密着型の不動産会社のウェブサイトやSNSも有効です。

掲載文では、「再建築不可」というデメリットを隠さず記載しつつも、「用途変更可能」「現況利回り◯%」などの活用メリットを明確に打ち出すことが大切です。

買主が「制約はあるが、活かし方次第で価値がある」と理解できるよう、ターゲットを意識した文章設計を心がけましょう。

簡潔かつ事実に基づいた記載が、信頼される第一歩です。

写真・間取り・動線の見せる順番

物件の魅力を伝えるうえで、写真や間取り図の順番や構成も重要なポイントです。

まずは外観全体の写真で建物の雰囲気を伝え、その後に室内写真、最後に間取りや動線を掲載することで、見ている側の想像が自然に展開されます。

建物が老朽化している場合でも、丁寧に清掃・整理された室内や日当たりのよい写真があれば、ポジティブな印象を持たれやすくなります。

また、間取り図は簡略すぎず、通路や部屋の使い勝手がイメージしやすいよう工夫することがポイントです。

物件の「現況」と「ポテンシャル」をセットで提示する構成にすると、買い手の判断を後押しできます。

投資家向けに押さえる数字・指標

投資家が物件情報を精査する際に注目するのは、「利回り」「修繕コスト」「月額賃料想定」「空室率」「運用シナリオ」などの数値です。

とくに表面利回りや実質利回り(運営経費を含めた収益効率)を掲載しておくと、検討初期段階でも比較されやすくなります。

築年数や修繕履歴、必要なリフォームの概算費用を明記することで、運用コストの試算もしやすくなります。

併せて、過去の賃貸実績や周辺エリアの家賃相場、想定入居者層についても記載しておくと、投資判断にリアリティを持たせることができます。

数字で物件の魅力を「見える化」することで、再建築不可という条件があっても「収益物件」として評価されやすくなります。

近隣への告知・ピンポイント訴求のやり方

買い手の候補として見落とされがちなのが、すでにその地域で生活している「近隣住民」や「隣地所有者」です。

たとえば、敷地を拡張したい隣地所有者や、家族のために近所に住まいを確保したいという需要は一定数存在します。

こうした層に向けては、ポスト投函型のチラシ配布や不動産会社を通じた近隣向けのDMが有効です。

その際は「このエリアにお住まいの方へ特別優先でご案内中」「隣接地につき交渉歓迎」などの文言を活用し、限定性や利便性を訴求することが効果的です。

反響がない場合でも、定期的に情報をアップデートして再掲することで、長期戦のなかでも意外な反応を得られる可能性があります。

交渉の進め方と落としどころ

価格の着地イメージと代わりの条件

再建築不可物件の交渉では、売出価格からの「値下げありき」で話が進むことが多く、初期の価格設定とともに“着地ライン”を意識しておくことが重要です。

たとえば、「500万円で出して最終的に450万円で売れれば良い」といった具合に、許容できる下限価格を想定しておくと、ブレずに交渉できます。

また、価格を下げる代わりに「引渡し時期の調整」「残置物の処理を買主負担にする」「境界確認を省略する」など、価格以外の条件で歩み寄る方法もあります。

買主にとっても「お得に感じられる着地点」を示せれば、納得のうえで契約成立に至りやすくなります。

金額だけでなく、条件全体をパッケージで整理しておくと、交渉を優位に進められます。

手付金・引渡し時期・残置物の扱い

売買契約をスムーズに運ぶためには、手付金・引渡し時期・残置物といった実務面の取り決めも明確にしておく必要があります。

手付金は物件価格の5〜10%程度が一般的ですが、相手が現金購入者の場合は手付放棄や契約解除のトラブル回避のためにも、やや高めに設定することが望ましいケースもあります。

引渡し時期については、売主の事情(相続手続きの完了待ちなど)と買主の希望(リフォーム日程等)をすり合わせ、調整可能な範囲で柔軟に対応しましょう。

残置物が多い場合、事前に処分するのか現況のまま引渡すのか、費用負担をどうするかを明確にしておくことで、トラブルを未然に防げます。

細かい条件の整理が、信頼と安心感を生み、取引全体をスムーズにします。

免責条項の線引き(どこまで責任を負うか)

築年数の古い再建築不可物件では、引渡し後に建物や設備に不具合が発覚する可能性もあるため、売主が責任を負う範囲を明記する「契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)」の取り決めが重要です。

多くの場合、「現況有姿(ありのまま)」での引渡しとし、建物・設備に関する一切の補償義務を負わない「免責条項」を付けることが一般的です。

ただし、買主がローン審査やインスペクションの結果により条件変更を求めるケースもあるため、交渉余地を持たせつつ、責任の線引きを明確にする文言を用意しておくと安心です。

万一のトラブルを回避するためにも、契約書・重要事項説明書での記載には不動産会社と連携し、十分に確認を行いましょう。

「免責=無責任」ではなく、「トラブル回避のための事前整理」であることを理解して進めることが大切です。

測量・解体・荷物撤去の役割分担

取引前後に発生する測量・解体・荷物撤去といった作業についても、売主・買主のどちらが実施・費用負担するかを交渉段階で明確にしておきましょう。

たとえば、古屋付き土地を解体して更地渡しにするケースでは、解体工事の手配と費用負担を誰が担うかによって、物件の価値や買主の判断が変わってきます。

また、境界確定測量が必要な場合も、事前に土地家屋調査士を手配して費用見積を出しておくと交渉がスムーズです。

残置物の撤去については、「現況渡し」と「撤去後渡し」の2パターンを提示することで、柔軟な交渉が可能になります。

お互いの負担とコストを正確に見積もり、納得のいく分担を提案できることが、良好な取引関係の土台となります。

相談先の選び方で結果が変わる

買取業者に売るか、仲介で探すかの見極め

再建築不可物件の売却では、「不動産買取業者に直接売却する」か「仲介で一般の買主を探す」かの選択が、大きな分かれ道になります。

買取はスピーディーかつ確実に現金化できる点が強みで、物件のリスクも一括で引き受けてもらえるため、早期売却を望む場合に適しています。

一方で、価格は相場より2〜3割低くなることが一般的で、価格よりスピードを優先したい場合に向いています。

仲介の場合は、時間をかけて市場から買主を探すため、条件に合えば高値売却が狙えますが、販売期間や交渉負担が長引く可能性もあります。

目的や優先順位に応じて、どちらが適しているかを冷静に判断し、必要に応じて両方の査定を取って比較するのがおすすめです。

私道・法務に強い専門家を探すポイント

再建築不可物件の売却において、特に「私道の通行権」や「境界未確定地」「越境問題」などが絡む場合、法務に強い専門家の関与が不可欠です。

たとえば、司法書士や土地家屋調査士は、権利関係や境界に関する調査・整理をサポートしてくれます。

また、不動産会社のなかにも、建築基準法や都市計画法に精通し、再建築不可のような特殊物件を多数扱っている業者があります。

選定のポイントは「過去に再建築不可物件の売却実績があるか」「法務書類の確認や代行に対応できる体制があるか」です。

相談前には、具体的な悩み(接道の有無、持分の不明確さ、越境の可能性など)を整理しておくと、より的確なアドバイスが得られます。

現地・役所調査まできちんとやる担当の見分け方

再建築不可物件は、表面上の資料やネット情報だけでは判断できないポイントが多く、実際に現地や役所での調査を行うかどうかが担当者の力量を測る指標になります。

たとえば、接道義務に関して役所の建築指導課で確認を取ってくれる、私道の法的区分を道路台帳で調査してくれる、隣地所有者の状況をヒアリングしてくれるなど、現場レベルの行動を取る担当者は信頼に値します。

ヒアリング時には、「この物件を担当したらどのように調査・販売を進めるか」を質問し、その回答から具体性と経験値を見極めましょう。

物件の個別性が高いため、マニュアル対応ではなく、個別対応力があるパートナーの存在が、売却成功の鍵を握ります。

媒介契約の種類と向き不向き

不動産仲介を依頼する際には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」という3種類の媒介契約から選択する必要があります。

再建築不可物件のようにニッチな物件では、情報の一元管理と担当者の販売意欲を高めるという点で、「専任媒介」または「専属専任媒介」が向いているケースが多いです。

特に、販売戦略の立案やターゲット設定、写真撮影・資料整備にしっかり取り組んでもらいたい場合は、専任契約の方が適しています。

一方、すでに複数の不動産会社と接点がある、または広く買主を探したいという場合は、「一般媒介」で並行して複数社に依頼する方法もあります。

契約前に「売却活動内容」「定期報告の頻度」「囲い込みをしないか」なども確認し、自分に合った契約形態を選びましょう。

成功報酬など費用の整理

不動産仲介における手数料(成功報酬)は、売却金額の3%+6万円+消費税が上限となっており、これは法律で定められた範囲内です。

ただし、調査が多岐にわたる再建築不可物件では、調査費や資料収集代行費用、告知文作成費などが別途かかる場合があります。

これらの追加費用については、契約前に見積もりを依頼し、報酬に含まれる内容・別途請求される内容を明確にしておくことがトラブル防止になります。

また、仲介ではなく買取を依頼する場合、手数料は発生せず、提示された金額=売却価格となるため、コスト面での違いにも注意が必要です。

「費用の内訳が明確であること」「追加請求の条件が明示されていること」が、信頼できる相談先選びのポイントとなります。

解体・測量・登記の見積もりの取り方

売却準備として解体・測量・登記の対応が必要になる場合、それぞれの業者からの見積もりを早めに取得しておくことで、全体コストの把握と交渉材料の確保につながります。

解体工事では、建物の材質や延床面積、周辺道路の幅員などによって費用が大きく変動するため、現地調査を行ったうえで複数社に見積もりを依頼するのが望ましいです。

測量に関しても、境界確定が必要か、簡易測量で済むかにより費用が異なるため、土地家屋調査士への相談を通じて精度の高い判断を目指しましょう。

未登記建物の登記や表題変更なども必要となる場合、司法書士に依頼し、売却スケジュールに支障が出ないよう早めの準備が肝心です。

見積書は売却資料と一緒に提示できると、買主にも安心感を与えることができます。

税金・費用・スケジュールを最適化する

譲渡所得の考え方と使える特例

不動産を売却した際に発生する「譲渡所得」は、売却価格から取得費・譲渡費用などを差し引いた金額が課税対象になります。

再建築不可物件であっても、取得時の価格や譲渡にかかった仲介手数料、測量費、解体費などを正しく計上することで課税額を抑えることができます。

また、特定の条件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」や「空き家の特例(被相続人居住用家屋の譲渡所得の特別控除)」などが使える可能性もあります。

特に相続で取得した空き家の売却では、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、税負担が大きく軽減されます。

制度の適用要件や必要書類は複雑なため、税理士や不動産会社と連携しながら早めにシミュレーションしておくことが重要です。

解体費・測量費はどう扱われるか

売却に際し発生する解体費や測量費は、譲渡費用として譲渡所得から控除できる可能性があります。

たとえば、売買契約の成立前に建物を解体して更地で引き渡す場合、その解体費用は「譲渡のために直接かかった費用」として認められるケースが多いです。

また、隣地との境界を確定するために行った測量も同様に、譲渡費用に含めることが可能です。

いずれも「売却を目的として支出した費用」であることが条件で、領収書や見積書など証拠資料を保管しておく必要があります。

これらの費用を適切に申告することで、所得税・住民税の負担を抑えることができ、売却後の資金計画が立てやすくなります。

空き家期間と固定資産税の影響

空き家状態が長期化している物件では、毎年の固定資産税や都市計画税が負担となります。

さらに、特定空き家に指定されると、土地に対する住宅用地特例が外れて税額が最大6倍近くに跳ね上がるリスクもあるため注意が必要です。

そのため、早期に売却の方向性を定め、できる限り空き家期間を短くすることが税務上も有利に働きます。

売却準備が整うまでは、自治体の管理代行制度や空き家バンクの活用を検討することも一つの手段です。

毎年の税額通知書は保管し、売却時に必要な経費計算や買主への情報提供に役立てましょう。

売却までの流れと目安期間

再建築不可物件の売却には、通常の物件よりも準備や交渉に時間がかかるため、全体のスケジュール管理が重要です。

売却の流れは「書類の整理・調査(1〜2週間)」「媒介契約と掲載準備(1〜2週間)」「売出し開始から交渉成立(1〜3か月)」「契約締結から引渡し(1か月程度)」が一般的な目安となります。

ただし、境界確定測量や解体、相続登記などが必要な場合はさらに数週間〜数か月の余裕を見込む必要があります。

方向性を決めるまでに時間を要する場合でも、今からできる準備(資料収集・役所確認・専門家相談)を進めておくことで、売却スピードと精度が高まります。

「2〜3か月以内に方向性を決めたい」という場合は、すぐに行動を開始するのが賢明です。

まとめ

再建築不可物件は制約があるため売却が難しいと考えられがちですが、接道改善の余地や用途提案、価格設定、資料整備などを組み合わせることで需要を引き出せます。

買い手候補の特性に合わせて情報を整理し、現金購入者や投資家、隣地所有者といったターゲットに的確に訴求することが大切です。

制約を正しく理解し、透明性のある説明を心がけることで「買い手がつくのか」という不安を減らし、スムーズな売却につなげられます。

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みかづき不動産株式会社

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本條 真経

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